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さて、どうしたものだろうか。帝人はつい先ほどの自らの行動を思い出して、思わず頭を抱えた。今日だっていつも通りだったはずなのだ。それなのに、どうして、あんなことを。
事の始まりは、何の変哲もないはずだった放課後まで遡る。

「みっかどぉ!帰るぞー」
そう言って思いっきり教室のドアを開け放ち満面の笑みを浮かべた正臣に、毎日のこととはいえ部屋中に響き渡った自らの名前に帝人はこっそりとため息をついた。非日常を望む気のある帝人ではあるが、だからと言って無駄に目立ちたいわけではないのである。だというのに正臣の声が無駄に通るせいで、この自分の見た目からは連想されにくい、まるで芸名のような名前だけが一人歩きしているような気さえする。
「正臣、声が大きいよ……」
ぽつりと呟けば、いつの間にやらそばに寄っていたらしい彼が目の前で外国人よろしく肩をすくめた。
「帝人ぉ、知ってるかぁ?関係ってやつは何時も一つの言葉から始まるんだぜ?その一言が!届かなければ女の子は振り向いてくれない!!!!」
「結局ナンパじゃないか!」
「ナンパはいいぞー帝人。可愛い女の子!綺麗なお姉さん!普通に生活してたら関われなかったであろう女の子達と仲良くなれるなんて最高だろぉ?」
ニコニコとと世界中の幸福を集めたような顔をしながらそう語る正臣に再度ため息を吐いた帝人は、準備の終わった鞄をさっと取り、歩き始めることにした。と、それに気付いた正臣が



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