Cinderella syndrome
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※リンダがシンデレラ症候群
※彼女及び日々也が実体化してて普通に生活しています。
※正臣達とはパラレルワールド

彼女はいつでも思っていた。
いつか私の前には白馬に乗った王子様が現れるんだと。
そして赤や黄色など色鮮やかな服に身を包んだ彼が私に手を差し出して微笑んで。
それから、こう言うのだ。

「迎えに来たよ、マイプリンセス」

それが近い未来に起こるのだと信じて疑わなかった。
けれど、周囲の人々は首を振る。

「そんなのはお伽話の中だけのお話だよ」
「リンダ、空想の世界じゃなくて、現実を見なさい」

と、彼女をたしなめるのだ。
リンダはそれが嫌で嫌で仕方がない。
だからと言って

「そんな事無いもん!きっと素敵な王子様が私を迎えに来るんだもん!」

なんて言えば、この子は可哀想な子なんだと憐れみの視線を向けられた。

だから、リンダはその考えを封印したのである。

「王子様なんて居ないんだ」

「そんなのは妄想でしかない」

などと繰り返して。
必死に必死にその思いを隠し、忘れようと努め。
そしてやっと手に入れた「正常」な考え。

お陰で普通の男子と恋愛をする事が出来るようになったし、他の女の子達の話の輪にも入れるようになった。
私は幸せだ、そうリンダは実感していたし、実際に彼女の生活は普通のそれと何ら変わりなかったのだ。

それなのに。

リンダは下唇をキュッと噛んだ。
そして目の前にいるまるで御伽噺の中から飛び出してきたかのような格好をした男に疑惑の視線を送る。
それを見ると彼は困ったように笑い、乗っていた馬の背から降りて跪きリンダの手に軽くキスをした。

「っ、」

「探しましたよリンダさん。私は日々也。リンダさんを連れ戻しに参りました。」

気品溢れる声でそう告げるとそのままリンダを抱き上げる。

「え、ちょ、何してっ……!」

「何って、リンダさんを抱き上げました。何か問題がありますか?」

「問題しか無い!降ろしてくれよ。私はっ、」

リンダは日々也の腕の中で暴れるがそんな抵抗ヘとも思わないらしく、そのまま馬の上に乗せられてしまった。

続いて馬に乗り込んでくる日々也。リンダを支えるようにして手綱を握るとパチン、と馬に前進を促す。

「降ろせっ、降ろせってば!」

その間にも抵抗を忘れないリンダ。いくら彼女が以前シンデレラ症候群だったとしても、これでは誘拐と言っても過言ではないだろう。
そう作り上げた正常は言っていた。
けれども、本心は違う。
このまま日々也と名乗った彼に連れて行かれたい、そう叫んでいたのだ。
だって彼からは犯罪臭がしなかったし、何より顔が整っている。
そんな人に悪い人は居ない。リンダは偏った知識でそう断定していた。
すると、そんな彼女の心が見えたのか日々也はふんわりと微笑むと禁断の言葉を口にしたのであった。

「貴方だから迎えにきたのですよ、マイプリンセス……」








Cinderella syndrome




日々也を書きたかったんです。
日々也と正臣ならきっとギャグになると思ったので、あえてリンダにしました。
シンデレラ症候群(シンデレラコンプレックス)とは、「白馬に乗った王子様がいつか私を迎えにきてくれる」と思うアレです。



101227



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