日常の中に日常を
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※日常の中の非日常の正臣視点


今日は帝人と杏里と遊びに来ていた。
三人で遊ぶの久しぶりだなぁ、なんて考えていたら遠くの方で大きな音がした。
ドコォッ パリーン、とまるで自販機が投げられたような……

「あれって、もしかしなくても静雄さん?」
「わかんねーけど、とりあえず行ってみよう!」
俺は二人の手を取って走り出した。両脇で「うわっ」とか「きゃっ」とか声がするけど今は無視だ。

喧嘩の場所は以外と近かった。
二人の手を離し、静雄さんの方を見る。こめかみには青筋が浮いていて、今にも切れそうだった。

「ヤベェ。あの静雄さんはヤベェ!」
「え、何が……って正臣!?」
帝人の声が聞こえたが今回も無視だ無視!あぁ、あとで何か言われそうだけど………

俺はゆっくりと静雄さんと臨也さんへ近づく。出来るだけ刺激しないように。
そして、静雄さんに近づいた。

「静雄さん」
「んだ手前……」
駄目だ。見えてない。しょうがないな、と自分に言い聞かせる。
そして、静雄さんの高い位置にある首に手をかけ、そのままジャンプするようにして
ちゅっ

可愛いリップ音が小さく鳴った。
心臓がバクバクいってる。出来るだけ静雄さんを直視しないようにしたものの、恥ずかしいすぎる。顔が赤いのがわかった。
「ま、さおみか?」
チラリと静雄さんの顔を見ると静雄さんはぽかーんとした顔で俺を見つめていた。
「静雄さん、逃げましょう」
そう言って静雄さんの首に掛けた手を静雄さんの手の位置まで下ろして呆けている静雄さんの手を引っ張った。

暫く歩いた路地裏で俺は静雄さんの手を離す。がいつの間にか俺の目は光を受け取らず、そのかわりに静雄さんの匂いが鼻孔に広がった。
その匂いに安心したのか、緊張が解けた俺の足はガクガクと震えだした。

「何で近づいた。もしかしたら俺はお前を殴っていたかもしれないのに」
上から降ってきた静雄さんの声が少し震えていた。俺の背中に回る腕はきつく締められた。
「苦しいっすよ、静雄さん………」
「あぁ、悪い」
少し腕を緩めてくれたので上を向く。
「俺は、静雄さんの喧嘩する姿、好きなんですよ。」
「でも、その相手が臨也さんだと、なんか……嫌なんです。」
言い終わってから後悔した。何だこれ、恥ずかしい。すっごいドキドキする。まったく、俺は生娘かっつーの。
と、不意に静雄さんの手が俺の頬を触った。
ビクッと過剰反応してしまった自分の体が嫌だ。
「正臣」
ふ、と微笑んだ静雄さんの顔がどんどん近づいてきて、あぁ、この人かっこいいな、なんて場に合わない事を考える。
「ありがとな」
俺と静雄さんの唇はいつのまにか重なっていた。


日常の中に日常を

(静雄さんと臨也さんの喧嘩、っていう日常の中に)(俺と静雄さんのキスが入ってしまえば良いのに)


と、言うわけで、↑の続き、というか番外編でした。今回の紀田くんは男前?というか積極的です。静ちゃんと紀田くんは出来てます。
というか、実はこのサイトで初ちゅーですね、多分。
この二人可愛すぎる。
静正美味しいよ、はぁはぁ←

100326



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