淑女の社交場
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※よく分からないモブ(腐女子)注意
※一応帝正のつも、り・・・


某月某日来良学園のとある教室内にて、何やら騒がしい様子。

「わああああ、これ紀田の字なの!?」

「えぇー嘘!意外すぎるんだけどー!」

女子高生たちが囲むのは一人の少年の机だった。
話題の中心にいるのはその机の上においてあった一冊のノート。
一人の女子生徒が出来心からチラリと中身を覗いたのが始まりである。

「何これ、本当可愛い・・・丸文字だし・・・それに、使ってる色が全部淡色って!普通赤だよねぇ?」

「うん・・・てか、何で数学のノートこんなに綺麗に纏めてあんの・・・?まさか、意外に紀田って真面目なのかな?」

紀田。それはクラスの中心的存在である男子生徒の名前だった。金に近い茶髪で、さらにナンパ好きという軽そうな井出たちなのだが、実は友達思いの良い奴である。そんな彼は、俗に言うガキ大将的な存在であったから、当然ながら彼女たちは授業用のノートなんて汚いだろうという勝手なイメージを持っていたのだ。
それなのに、いざ開いて見れば整然と並んでいる柔らかい文字の羅列。
予想外の展開に彼女たちは驚きに声を上げてしまった、とそういうわけである。

「なんか、本当に意外だよね・・・まあ、だからと言って紀田に似合わないかって言われればいえないけどさー」

「うーん・・・まあ、紀田、見た目可愛いしね。」

「うん。格好良いでは無い感じだよね。」

文字を見つめながら話を進めていけば、さすが女子高生というだけあってあらぬ方向へと話が展開していき、いつの間にやら容姿の話へと姿を変えていた。そして話題はさらに飛躍する。

「てゆーかさ、私は紀田受け派なんだけど、ちーちゃんどう思う?」

一人の少女がなにやら深刻そうな顔をしたかと思えば、飛び出したのは予想外の言葉。
しかしちーちゃんと呼ばれたその少女はさほど驚いた素振りもせずに顎に手を当てて考え出した。そしてコクリ、と頷くとこちらも真面目そうな表情を浮かべて口を開く。

「私もそう思う。カップリング的にはー・・・うーん、このクラスでも良いけどどっちかって言うと隣のクラスの竜ヶ峰君で頼みたい。」

「え、私もそれ今言おうとしてた所!竜ヶ峰君まさかの攻めとか萌えるよね!」

「やばいよね、今色々トリップしかけてたよ私。」そういうが早いかお互いの手を握り合って強く握手を交わす二人。その表情は酷く輝いていて実に不気味であった。
と、不意に教室のドアが開く音。それから二人文の話し声。

「ごめんってば帝人ー!まさか数学のノート忘れてるとは思ってなかったんだって」

「はぁ・・・僕ちゃんと忘れ物無いって確認取ったはずなんだけど?」

「だからごめんって・・・ほら、帰りアイス奢ってやるから!」

「別に要りません。」

「ひどいっ!」

そう、そこにやってきたのは紛れも無く先程の話題の人達。
もしかして聞かれていたかもと身体を硬直させた二人に気がついたのか、正臣はあー!と声を上げた。

「ちーとれい!何で俺の席囲んでんだー?あ、もしかしてこれからめくりめく愛の三角関係って奴の前兆か?」

「はぁ・・・ごめんね、正臣が馬鹿で。」

「おいおい、なんで俺のことで帝人が謝るんだよお!それに俺は馬鹿じゃないぞ!」

拳を作った手を上下に振って身体全体で気持ちを表現する正臣にあきれ返っている帝人。わめき続ける正臣が話を進める気がないと知った帝人が再度ため息を吐くと状況を説明し始めた。

「なんかバカ臣が教室に数学のノート忘れたから取りに帰るぞって言ってさ・・・驚かせちゃってごめんね、えっとちーさんにれいさん」

申し訳なさそうに謝る帝人。しかし彼は彼女たちがフリーズしてしまった本当の意味を知らないらしい。そのことに気がついた少女たちはなんとかフリーズ状態から脱することが出来た。

「私たちは別に大丈夫だよ。こっちこそごめんねー、気を使わせちゃったみたいでさ」

頭をぽりぽりかきながら謝ると、次にやっと大人しくなった正臣の方を向く。

「あと、紀田にも謝らなきゃいけないことがあるんだよね。誰のかなって思ってあんたのノート見ちゃった。ごめんね?」

こちらにもちゃんと差し支えないように謝れば一瞬ポカンとした表情を浮かべた後、ニカッと笑うと腰に手を当て口を開いた。

「え、ああ。別に良いって良いって!で?俺様正臣様のノートの感想は?」

「いや、普通ノート見たぐらいで感想なんて無いんじゃないの?」

「いいの!あるかもしんねーじゃん!聞いてみたいって思うのが健全な男子高校生としてのアレ、みたいな?」

「意味わかんないし・・・」

冷たい突っ込みを物ともせず笑い続ける正臣。これなら巷で聞く【紀田正臣はドMである】という噂も本当なのではないかと思ってしまう。
ぼんやりとしていれば、我慢できなくなったのか正臣がどう?なんかある?なんて催促をしてきたので思っていたことをそれぞれ口に出した。

「紀田って実は字可愛いんだねー、知らなかったよー!」

「それに、水色とかピンクとか使っててなんか女の子のノートみたいで可愛かった」

「正臣って可愛いよね。」

と、間髪いれずに返事をしたのは意外にも帝人の方であった。そしてさらに意外だったのは、

「っ、帝人、おまえ、俺の事可愛いって・・・!」

と正臣が照れていたことである。
こんなことがあれば二人はもうどうする事も出来なくなるがそれは仕方の無いことである。それが腐女子の定めという奴だ。

(え、もしかして本当に出来てる!?)

(竜ヶ峰君がデレただとおおおお!)

とまあ、二人脳内はこんな感じである。さらには

「まあ、字だけだけど。本人はなんと言うかウザイよね」

「ひどいっ!ま、まあ俺だって別に帝人に可愛いとか思われかったわけじゃないけどな!」

(そして紀田はまさかのツンデレだったのか!)

(なんという萌え設定・・・!)

なんてこともあり、二人の興奮度は計り知れない所まで高められていた。

「じゃあな、って二人とも鼻血・・・」

「私たちのことはお気になさらず・・・!ラブラブライフを充実してくださいな!」

「ラブラブじゃないんだけど・・・」

そんなことを呟きながらガタリ、という音を立てながらドアを閉めた帝人。
そして教室に残された二人は暫く見詰め合った後、ニヤリと頬を緩ませるのだった。











淑女の社交場

(ひいいい、紀田と竜ヶ峰君のカップリングが私の中で何かを越えたよおお!)(なんなのあの二人、狙ってるの?狙ってないの?それとも出来てるの・・・?)



実録です。
昔あったことを帝正にしたらこうなりました。たまには正臣だってツンデレてみれば良いと思います。

あと文章全体的に締りが無いのは実録だからでだと信じています(私が)



101017



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