君に触れたがる手
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例えば朝起きたときに。
例えば二人きりの帰り道に。
無意識に伸びてしまうこの手は一体何なのだろうか。
ふわふわと踊る髪の毛に指を絡めて口付けて、細い身体を抱きしめそれからそれから・・・
ああもうなんで僕はこんなこと考えてるんだ、なんて頭を悩ませている間にまた手を伸ばしてしまう。
なんという悪循環。それもこれも目の前の彼が可愛すぎるのが悪いんだと思う。

「みかど、みかど、みーかど!」

「どうしたの正臣?」

「ううん、呼びたかっただけ」

えへへ、と笑う彼に釣られてくすりと笑っい、これではただのバカップルではないかと表情を引き締めようとするも、やっぱり表情が緩んでしまう。

指をすっと伸ばしてその金髪とも茶髪とも取れる綺麗な髪の毛に触れる。
クニクニと指先で弄んでは次の束へと指を滑らせればん、と可愛らしい声が漏れた。
「正臣の髪は相変わらず触り心地良いね。絹みたいで気持ち良い。」

「んー、俺も帝人に髪の毛触られんの好きかも。気持ち良い・・・」

とろん、と眠たそうな目を擦る彼の手をとって優しく引き寄せればストン、と綺麗に収まる彼。僕より背が高いはずなのになんだろうこのフィット感は。まるで長年使い続けた抱き枕のようにフィットする事に謎の感動を覚えた。

「眠いの?」

「ん・・・」

ぐぐっと僕の胸板に頭を擦り付けて安定する場所を探っている彼。その頭を抱えるように腕を回せば安心したのか全体重を預けてきた。
反対側の手で畳を押さえてバランスを取る。自分の体重と彼の体重を一身に支えている筈なのに全く苦にならないのは自分の彼に対する愛故だと独りでに納得した。

「な、重い?」

くぐもった声で問いかけられる。彼の手は既に背中に回されており、がっちりとホールドされていた。

「ううん、全然。寝るの?」

「うん・・・」

「そう。ね、僕も寝たいからさ、ちょっと手、どけて?」

背中にあった手を首に回させて、そのまま後ろへ倒れる。そうすれば下から畳、僕、正臣となり、普段なら圧迫感を感じざるを得ない体勢だったりするのだが、やっぱり気にならなかった。

「うあ、これ、帝人潰れないか?」

「大丈夫。ちょっと重量のある布団ぐらいなものだから。」

「ちょっとって・・・いや、ちょっとじゃねーだろ・・・」

そう言って降りようとする彼の腰と肩ををグイッと掴んで固定して降りられないようにすれば、みかど、と困ったような声が上から聞こえる。

「起きた時、正臣の顔が一番最初に見れるからこれで良いの。」

少し強気にそう言えば正臣はかぁっ、と赤くなったり口をパクパクさせたりと暫く忙しくなる。そしてブツブツと口のなかで何かを呟いてから諦めたかのように再び身体を弛緩させた。

「そこまで言うなら仕方ない。出血大サービスで俺布団を堪能させてやろう。・・・帝人だけ、特別だから、な・・・」

そう言うとふわぁ、と大きな欠伸を残して目を閉じる。

「わかった、ありがとう。」

そして既に夢の中へと旅立ってしまった彼に小さく口付けてから僕もまた、眠りにつくのだった。











君に触れたがる手

(どこにいても何をするときでも)(ただ近くに君を感じていたいんだ。)






なんと、帝正企画という素敵なサイトを立ち上げていらっしゃる方が!
というわけで帝正クラスタの私が参加しないわけにいかず・・・!思わず参加させていただきました///

提出先は此方です⇒「すけっちぶっく様」





100808



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