やがて快楽に呑まれる
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Sに目覚める瞬間の続編です。読まなくても大丈夫だとは思いますが、お読み頂けたら幸いです。
※唐突に始まります。



「んん・・・んむ・・・んあ、んんんんっ」

舌が絡まりあい、唾液が口の端から溢れるのも気にせず一心不乱に口内を貪る。
一瞬も気を緩めることなく攻め続ければ、紀田先輩の身体から力が抜けていくのが分かった。ソファに沈み込んでいくことさえ許さず頭を抱えて深く深く口づけをすれば酸素が足りなくなったのかそれとも生理的な物なのか判断する事の難しい涙が溢れる。

「んうっ、っあ、もっ、むりっ」

グイッと髪を引っ張られた。その痛みにビクンと身体が震え、思わず口を離してしまう。その為急激に入り込んできた大量の酸素に対応しきれず二人して噎せてしまった。
それでも紀田先輩よりは早く立ち直った俺は彼の耳に舌を沿わせ先程のキスのように濃厚に舌を絡める。

「ね、紀田先輩って女性経験豊富なんっすよね?何で俺の拙いキスでこんなに息切らしてるんすか?」

「っ、うるさ・・・」

ビクン、ビクンと時折身体を跳ねさせながら強がる姿が可愛らしくて思わず抱き締めたくなるが、それよりもやっぱり先輩の泣き顔が見たくて必死で堪えた。

「ほら、理由を教えてくださいよ。先輩、なんですから知ってるでしょう?」

そして舌を休めることなく動かしながら、自分でも悪趣味だと思う質問を繰り返す。

「へ、たいお、やじ、んんっ・・・かよ」
「先輩よりは年下ですよ」

「ふっ、しぁっ、って、る、」

「じゃあ俺より人生経験豊富なんですから、答え下さい」

ツツーと耳から首筋へと下り、鎖骨を舐めれば甘い声が漏れた。
この人は本当に全身性感帯なのではないかと少々疑問に思いつつ、パーカーを胸元まで捲りあげ、ただ乳首を見つめる。
と、次第に芯を持ち始めたそこに、思わず笑みが溢れた。

「先輩ってば、もうここ勃ち上がってますよ?俺一切触れてないのに。もしかして見られるだけで感じちゃう淫乱ですか?」

「違っ!それはっ、」

「それは?」

「っ、何でもないっ」

真っ赤に頬を染めながらイヤイヤする先輩に先程までの質問の答えは求めない事にした。
だって、こちらの方が面白い。

「っ、だって、青葉がっ・・・」

「俺が、何です?」

じー、とただただ見つめながら問いかければ、先輩は顔を背けてブツブツ唱えてから顔を赤くする。

「聞こえません、先輩。」

「うっ・・・だから!その、・・・青葉の視線がエロいんだって・・・」

言ってからギュッと目と口を閉じてプルプルと震えた。そうとう恥ずかしかったのだろう。目には涙が浮かんでいた。
そして、俺はその尻すぼみな言葉を聞いて満足しながら顔を近づける。普段の紀田先輩なら絶対に言わないだろう言葉を聞けたこの優越感たら無いだろう。

「ちゃんと言えましたね。」

「んっ・・・」

わざと息を乳首に吹き掛けるように言葉を吐き出せば、それだけで可愛らしい声を漏らす先輩。

「じゃあ、ご褒美です。」

そう言って思いっきりそこにかぶりついた。

「いっあああ!っあ、あ、」

文字通り歯を立てれば勃ち上がったそこにとっては刺激が強すぎたらしい。

思いっきり背中を反らしたかと思えばビクビクと身体を跳ねさせ、そして恍惚を浮かべながら身体を弛緩させた。

「あれ、先輩もしかしてイきました?」

「っはぁ、はぁっ・・・」

「イったんですね?」

「っ・・・」

すっ、とズボンの上から触れば水気を含んでいて、あ、やっぱり、と確信する。

「やらしいですねー、紀田先輩。紀田先輩も俺と一緒でマゾですか?」

「違う、俺は、」

「違わないですよ。だって見られて痛くされただけでイクとかマゾで淫乱にしか無理ですから。」

「ーーー〜っ!」

俺の言葉に先輩は顔を赤らめ悔しそうに歯を食いしばり目を伏せ涙を流した。
ぞくり、と背中に何かが流れるのを俺は感じた。
そう、これ。これである。
俺が求めていた表情。過去に将軍と呼ばれた彼を、俺の手で、泣かしている。
その背徳感にゾクゾクが止まらない。思わず自分の身体を抱き締める。

その時頭が真っ白になり、とてつもない快楽が訪れる。
これは、と思いそっと自分の下半身に触れればそこも先輩と同じようにしっとりと濡れていた。

「うあ、」

思わず漏れた声が先輩にも聞こえたらしい。
まじまじと俺を見つめたあとニヤリと笑い口を開こうとしたので、何を言う前に俺の口で塞いでやった。













やがて快楽に呑まれる

(Mに目覚めかけた蕾は)(尚も拒みSへと返り咲く)







続き読みたいと言ってくださった方が居たので!
というか、青正はいったいどれくらい需要があるのでしょうか・・・?
需要的には
臨正>静正≧帝正>青正ぐらいですかね。
需要が低くても書き続けるの何故かマイナーばかり好きになる私のポリシーです←
では、お付き合いいただきありがとうございました!






100806



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