「暑い・・・」
ぐでーんと床に横になった正臣は呟く。むん、とした室内は外と同等、いやそれ以上に蒸し暑い。日差しがないだけマシかと自分に言い聞かせるも、風通しの悪さで打ち消されてると考え直した。
「なんで・・・」
「しょうがないじゃん。お金無いし。」
主語の無い問いかけに間髪入れずに返事が返ってくるあたり流石幼馴染みというところだろう。
「だからって、それはさぁ・・・」
「いや、これは凄く良いものだと思うよ。古代の人はこれ一つで何とか耐えてきたんだから僕たちだって耐えられる!」
「・・・そうだな」
片手に街角で貰ってきた団扇を片手に力説され、正臣は折れるしかなかった。
「ほら、正臣も扇いであげるからさ、」
暫くはパタパタと正臣に風を送りながら微笑んでいた彼は急にあっ!と叫び、続いて正臣の後ろに回る。
「え、え、」
いったい何が始まるのだろうと驚いた正臣は帝人の姿を視界に入れるべく首を回した、のが仇になったらしい。
「ひぁぁっ!」
ペロリ、と耳を下からから上へと舐め上げられふるりと身体を震わせる。
「あ、やっぱり効いた。」
「何がやっぱりだ!」
赤くなった耳を手で押さえながら叫ぶ正臣。
「でもほら、汗引いたんじゃない?」
「へ?・・・あ、本当だ・・・」
先程まで暑くて暑くて堪らなかった身体は冷め、汗が引いているのに気がつく。
「これ、暑さ対策なんだよ。この間耳の弱い人は耳を弄ってやれば涼しくなるってテレビでやってた。」
「へぇー・・・でもさ、きっとその弄るってのは手で撫でたり息吹き掛けたりすることであって、舐めることでは無いと思うぞ?」
「うーん。まぁ、効いたし良いんじゃなあかな?」
「ひやぁっ!も、やめろってば・・・!」
そう言ってぺろりともう一舐めしてから立ち上がろうとした矢先、帝人は見てしまった。
「可愛い正臣発見したから予定変更。」
涙目で震える正臣の姿を。
「なにいって、っひあ!」
もう一度しゃがみこんで正臣の手と頭を押さえながら耳を食む。
「本当に正臣は耳が弱かったんだねー、可愛いなぁ・・・ねぇ、」
「ああっ、も、やめっあ!」
はむはむと唇で挟まれ弄られてはひっきりなしに声が出るのも仕方のない事で。
「食べても、良いかな?」
さらに言えば耳に吹き込まれた普段よりも格段に低いその声に抗えるわけもなく。
何かを答える代わりに身体を反転させ帝人の首に手をかけ微笑めば静かにその場に押し倒されるのであった。
性感帯≒寒帯
(良かった、僕の部屋に冷房具がなくて。)(だってあったらこんな可愛い正臣見る機会なんて無かったもの。)
今回のコンセプトは純粋な帝人くん、です。帝人様ではありません。あくまで帝人くんです。イメージはアニメ竜ヶ峰帝人です。6、8巻(私のバイブル)の要素を一切入れないようにするとこうなりました。
関係性もアニメ帝正な感じ。
書いてる途中に全テを読み返したのがこうなった原因だと思われます。
それにしても白帝人と正臣の絡みは百合過ぎますね。帝人様と正臣は薔薇越えてのまですし。
デュラで薔薇っぽいのは臨正と臨静だと思ってます。
って、後書き長いですね、すいませんorz
100804