学校、放課後にて
―――――――




※女装注意
※杏里のキャラ崩壊(腐ってますよ、若干)




俺こと紀田正臣は大変困っている。
「あれ??紀田くん、着ないんですか??」

現在の状況を説明しよう。
俺は帝人の教室に遊びに来た。そこには帝人が居ない代わりに、杏里を始めとした女の子がたくさんいたりした。これは乙女キラー紀田正臣への神様からの贈り物??とか思いながら杏里に近づいた、のがまずかった。
「紀田くん、あの、竜ヶ峰くんなら居ませんよ?」
オドオドしながら言う杏里はやっぱり可愛い。俺は違和感を感じずに話を続ける。
「帝人?いやいや、俺はちょっと乙女な皆さんと喋ろうと来ただけっ」
「そ、そうなんですか」
「そうなのさ!男同士で喋っていても華がないだろぉ?」
俺は特上の笑顔を向けた。これで皆が俺にメロメ「あ、あの!」
杏里は凄く目を輝かせている。こんな杏里見たことがない。俺が目を向けると、衝撃的な言葉を紡いだ。
「あ、あの、竜ヶ峰くんと付き合ってるって……本当ですか!?」

ピシッ………と空気が凍ったような気がした。視線が気になって辺りを見回すと、女子の皆さんが目を輝かせている。え、何これ。いじめ??

固まっている俺を気にせず杏里は続ける。
「この前お二人が……で、デートをされているのを偶然見付けてしまって……」
「手を繋いで歩いていらしたのでもしかしたら、と……」

なんてことだ。あれを見られてしまっていたのか。あの時は確か手を引かれて、路地裏で、っとぉ!危ない危ない。うっかり話すのは良くないな。
俺はどうやって杏里に説明しようか迷っていた。俺と帝人が付き合っていることを言うのか……言わないのか……

「それで、竜ヶ峰くんに聞いたら、『うん。正臣と僕は付き合ってるよ』とおっしゃってて。」

なんということだ。帝人、お前そんなにあっさり認めていいのか?

「それで、今日はその、デート、という事も聞いたんです。」

おいおい、帝人、お前言い過ぎだろぉぉ。
俺は顔が熱くなるのを感じた。

「そこで、皆さんに協力してもらって、紀田くんを可愛く変身しようかと」

ふんふん。なるほど。俺を可愛く…………って!?

「あ、杏里……それは必要ないかなぁ?だから、その手に持ったスカートを押し付けるのはやめてくれぇぇぇぇぇぇ!!」

いつの間にか杏里が手に持っていたのは制服のスカート。何で持っているんだ、という疑問は置いておこう。

ここで冒頭に戻るわけだ。

「あ、あの、杏里さん?恥じらい深い女子高生が男子高校生のベルトをとっている絵はすごーくシュールなのですが……」

いっこうに手を止めようとしない杏里に焦りを隠せない。目の前に居る女の子は本当に杏里なのだろうか。そんなことを考えていると杏里はいつの間にかズボンに手をかけていた。

「あの、紀田くん?まだ自分で履く勇気がでないんですか?」

あれ、もしかして杏里は俺に二択の質問を突きつけてきているのか?あれ、これどっちに転んでも俺が女装することには変わらなくないか?それなら……

「待った待った!自分で履く!自分で履くから!!」
「本当ですか?なら……」
この紙袋の中に着替えが入っていますので、と渡された紙袋を見てため息をつく。
「では、私たちは外で待っていますね。」
はぁ、ともう一度ため息をついて紙袋の中身を確認する。えーっと何々?スカート、ブレザー、カッターシャツに下……着!?あれ、もしかして自分で着替えるって言わなかったらパンツまで履き替えてたのか、杏里?
よ、よかった……と一人安堵する。
しかし、女装か……嫌だな、なんて思っていてもどうせ逃げられない。しょうがない、俺も男だ。腹をくくろう。

5分後、俺の女装は帝人のクラスの女の子の前にさらされた。
「すっごく似合ってますよ?紀田くん」
あぁ、俺はどうしてこんな事をしているのだろう……凄く恥ずかしいのだが、これ何て羞恥プレイ??
周りにいる女の子がキャーキャー言ってくれているのに喜べない俺が居る。
と、いきなりざわめきが収まった。
「あれ……紀田くん?」
おそるおそる後ろを振り返れば帝人がいた。目を大きく開き口も開いてる。ポカーンという効果音が聞こえてきそうだ。
コツン、コツン、と足音が響く。何だか胸がドキドキする。顔が熱い。
サラッ
いつの間にか近づいてきた帝人が俺の髪を梳いた。全身が心臓になったみたいだ。どんどん帝人の顔が近づく。
周りからは黄色い声が沸く。


「行くよ、正臣。」

グイッと手を引かれてバランスがとれなくなる。耳元で囁かれたからか耳まで熱い。何だこれ。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!熱すぎて頭がクラクラする。帝人に手を引かれて足を動かす。校門を出たところで帝人に抱きしめられた。

「正臣、可愛い。」

囁かれた言葉が頭の中をループする。可愛いって誰が?正臣って誰だ……あ、俺か。混乱状態にある脳で必死に考える。

「こんな可愛い正臣、誰にも見せたくないよ」

そう言って帝人は俺に向かって微笑んだ。
「僕の家行こっか。」
俺が静かに首を動かしたのを見て帝人は歩き出す。そんな帝人の背中を見ながら教室から出た時から繋がれている手を軽く握り返した。


学校、放課後にて

(あ、紀田くんと帝人君だ〜!)(あ、やっぱり紀田くん受けだったんだね〜。)




前置きが無駄に長くなってしまった/(^o^)\
絶対紀田くんは来良の制服(女子用)似合いますよね、っていう妄想が生み出した産物。
杏里は隠れ腐女子だったら良いなぁ←

100325



―――――――



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -