最悪だ、と呟けば目の前の黒が笑った。
「んあっ、あっ・・・」
なぜ自分はこんなことをやっているのかと必死に頭を捻るが何も浮かんでこない。脳内には既に羞恥と快楽に塗り固められているらしい。
「何でこんなこと、って言いたそうな顔だね。」
にやっといやらしく笑った彼を思わず殴りたくなるがそれが出来ないと正臣は知っている。
(だって、この人は雇主・・・なんだから・・・)
「だってほら、君は特別、だからね。」
相変わらずニヤニヤと嫌な笑みを浮かべたままの臨也が残酷な言葉を紡ぐ。
「俺に逆らいたくて逆らいたくて仕方ないのに雇い主である俺を怒らせたらもう生活できない。だけど俺が嫌いで嫌いで仕方ない。だから身体も許したくない、ちがう?」
「っんく・・・ん、だまれっあ・・・!」
「ほら、口では抵抗してくるくせに止めないもんね。」
キッと睨みつけた正臣に対しておお怖い怖いだなんて思っても居ないことを口にする。
「そう言う所、だあいすき。」
正臣はもう何も言わなかった。ただ静かにこの悪夢のような時間が過ぎ去ることを願っているように目を閉じているようにも見えるその顔は何とも哀れである。
「さてと、そろそろ良いよ。早く起ち上がって俺の上にまたがりなよ。」
「っ、」
「ほら早く。早く来ないと・・・いいの?」
その言葉に正臣は後孔に差し込まれていた指をちゅぽんと抜いた。体液で濡れた自分の指を見て嫌悪感が押し寄せてくる。
さらにこみ上げてきた嘔吐感に必死に耐えながら臨也に近づけば彼の笑みは冷えていた。
「ねえ、君の表情に萎えた。今日はもういいよ、帰って。」
本当に冷めた表情を浮かべた臨也は投げやりにそう言って扉を指差す。
「っ、失礼します・・・!」
その無言の命令に正臣は軋む身体にむち打って走り出した。
目に幾粒もの涙を溜めながら・・・・・
所詮そんな物
(どれだけ愛してると囁かれても)(胸は苦しくなるばかりである)
公開0721を強制させられた可哀想な正臣と、残念な臨也の話。
珍しく臨←正です。楽しかった・・・そうとう短いですけど・・・
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