くしゃくしゃな手紙
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※幼少時代捏造




くしゃり、と何かが丸められる音がした。
続いてビュッと何かが投げられる音。
そして音にしては案外軽い衝撃を背中に受ける。

背中に当たったために勢いを無くしたそれは、こてん、と床に垂直に落下した。

(なに、これ。)

ぐしゃぐしゃと潰された紙を破かないように丁寧に開けてから、中を確認する。

『毎日繰り返される日常に飽きた帝人くん!俺と非日常を繰り広げないかい?』

見慣れた字で書かれたその文字にバッと斜め後ろの席を見る。そしてひらひらと手を振りニカッと笑う正臣の姿を確認して犯人を確定した。

『でも、先生にバレちゃうかも・・・』

幼くいかにも小学生です、と主張する彼の字の下に、同じ年齢だとは考えられないほどに整った文字でそう記す。そして今度は丁寧に折りたたみボールペンの先に挟んでから転がした。

それを屈んで拾い上げる正臣の姿を視界に留めながら黒板をチラリと見ると算数の問題を書き写しながら説明を必死にしている初老の先生。黒板の内容を丁寧に映し、帝人には簡単すぎるその問題の解答を頭の中で組み立てている途中、再び背中をあの感覚が襲った。やはりゆっくりと拾い上げ、先ほどではないにせよグチャ、となっている紙を広げた。

『だいじょーぶっ!あの人全然気が付かないから。てかさてかさ、今日は山まで遊びに行こうぜ!』

その紙越しに正臣の笑顔が見えた気がして帝人も知らず知らずのうちに微笑む。
そして返事を書こうとしたら終了のチャイムが鳴り響いた。

「きりーつ、れいっ!」

今日の当番の声が響き、慌てて帝人は起ち上がる。その際ポケットにつっこんだ手紙がグシャリ、と歪んだ気がした。

「帝人帝人!」

駆け寄ってきた正臣の頭を撫でてやると目を細める。正臣は何だかこれが好きらしく、事あるごとに撫でてと懇願してくる姿が可愛らしい。

「良いよ、行こっか。」

にっこり笑って手紙の返事をしてやるとぱあっと顔が明るくなった。

「やった!なあ、そのあと帝人の家に泊まりにいっていい?」

「うん。」

「わあいっ!帝人大好き!」

ひし、と抱きついてきた正臣を受け止めながら帝人は頬の筋肉を緩ませる。

「僕も大好き。」

そう呟いた言葉にえへへ、と笑う正臣を何故だかもの凄く可愛くて、無意識に手に込める力を強めた。











くしゃくしゃな手紙

(そういや何でわざわざ手紙だったの?)(んー?このあいだ帝人が他の奴が投げてるの見て羨ましそうな顔してたから?)(・・・正臣大好き)(うああ、苦しいってば!)




ちっさいころの二人は絶対ラブラブだとおもうんです。(主張
帝人様の真っ白な所がポイントですよねーw







100721



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