Sに目覚める瞬間
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「紀田先輩、踏んでください。」

「は?」

「もしダメならののしるだけでも良いです。」

「いやいや・・・」

実に不可解だというような視線にぞくぞくする。
ご存知のように俺は一般的によく言われるマゾ、というやつだ。好きな人にはいじめられたいと思うし、冷たい視線で射抜かれたいとも思う。
理由など無い。ただ蔑まれた時とその後のギャップがたまらないから、とでも言っておこう。

だけど、だからと言って僕は女性的な立ち位置に立ちたいわけではないことを解って貰いたい。
俺は俺よりもずっと、いや、そこら辺の女の子よりもずっと可愛い紀田先輩を心から愛している。因みに俺が色々企てるのだって、別にどこぞの変態のように人間が好きなわけではなく、彼個人を愛しているからこそだ。・・・話がそれた。
とにかく、俺は紀田先輩を愛しているのだからそれこそ当然エッチな顔を見てみたいと思うし、そのギャップとして蔑まれたいとも思う。
そう、すべては当然のことなのである。

「何でですか?・・・まあどうしても嫌なら紀田先輩の足だけ貸してくれたらそれで良いです。」

いそいそと立ち上がって紀田先輩のそばへ行き(先輩は勿論ソファーに座ってる。)細くて長くて男のものとは思えないほど柔らかく綺麗な足へとほお擦りした。

「うあっ、くろ、ぬまっ・・・?」

「青葉、って呼んでくださいって言いましたよね?」

上目遣いで見つめればあー、と視線を泳がせながらぼそりと訂正する彼が愛しい。

「あ、おば・・・やめろ、」

「嫌です。俺は帝人先輩の命令しか聞かないので。」

スポン、と靴下を脱がせればこれまた白い足と対面する。
チロリ、と舌を出せば、赤と白のコントラストにくらくらした。
舌を紀田先輩の死角を通るように気をつけながら、しかし的確に近づけてそのままペチャ、と押し当てる。

「ひあっ!」

途端ビクン、と跳ねた足首を手で掴み、少し持ち上げるようにして足を丁寧になめれば、びく、びく、と短続的に震える。
ぴちゃぴちゃと水音が響くのを感じながら指のまたまで舐めるとなけなしの抵抗が飛んできた。

「はぅあっ・・・やめろってば、っあ!」

「だから嫌ですってば。俺は帝人先輩の言うことしか聞きませんからって言いましたよね?それに、紀田先輩だって・・・」

まんざらって感じじゃないですか。足から顔を上げてにっこり笑えばカアッと赤く火照った顔。ほんとに可愛い人だと思う。
同じ人間、さらには同じ性別だとは思えない表情や声、行動に何度ドキドキさせられれば良いのだろうか。
思考をめぐらす間にも、紀田先輩への愛撫をとめることはしない。そろそろ視線が留まらなくなってきているのか、視線が宙を舞っており、口はだらしなく開いて、まるで情事中のような恍惚とした表情を浮かべている。

「いやらしい顔ですね。」

ちゅぽん、という軽い音と共に口からずっと舐めていた親指を開放してやれば外気の冷たさに少し自我を取り戻したらしい。

「黒沼、お前、本当にっ、」

「先輩、」

息絶え絶えに言葉を紡ごうとする彼の唇に人差し指を当てて、それを邪魔する。

「黒沼じゃ、無いですよ。」

にっこり笑ってそう諭せば素直に謝る先輩。ごめん青葉だって。今にも泣きそうな顔で八の字に眉を垂らして。
そのとき俺の中をいつもとは違うぞくぞくが駆け巡る。そのぞくぞくを頭で理解する前に口が勝手に動く。

「間違えたから、お仕置きですね。」

そして気がつく。自分が今何を求めているのかに。

俺は、紀田先輩の

泣き顔が見たい。

顔中をグチャグチャにしてでもプライドが邪魔するから大声で泣けなくて歯を食いしばって耐えて、でもやっぱり悔しくって涙がこぼれてしまいそう。

そんな表情を今、酷く渇望している。


「お仕置きですからね、やさしく出来ません。」

思い立ったが吉、ということだ。
今日は素敵な名目―――お仕置きという建前のもと、思いっきり痛く、だけど強烈な快楽を与えてあげよう。
プライドなんて忘れて大声で泣きじゃくれるように、思いのたけをすべてぶつけて。
そんなことを考えながら、本日はじめての口付けを彼に施した。















Sに目覚める瞬間

(Mだからこそ解る快楽。)(それを貴方に全て教え込んであげますよ。)






最近このCPが来てます。やばいです。
青帝青とか、青臨青とかいっぱいある(特に前者)のに何で青正無いの!少ないの!?
M×M はただの楽園だと思うんです。ああ、でも青帝正とかも書いてみたい。(もちろん帝人様総攻め)
来良は私のオアシスですかそうですか。来良組(青葉含める)がすきすぎて息をするのが辛いです。
もちろん臨也やシズちゃんも好きですけど!
あと書いてないけどドタ遊馬も大好物ですモグモグ^q^
はっ!後書きがただの萌え語りにっ!

とにかくこれから青葉率が異様に増えるかもしれませんが甘受してやってください。
地味に帝青のあの殺伐とした感じも大好きです^q^

では、ここまでお読みいただきありがとうございました

もっとふえろ、青正!











100719



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