何事も計画の段階が一番楽しいのです
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※正臣先天性女体化


とある昼休み。
二人の男女が額を突き合わせ何やら話し込んでいた。

「もうすぐ夏休みなんだしさ、海行こうぜ海!」

「海ー?海行ったって正臣泳げないじゃん」

「いや、海は泳ぐために行くわけじゃないし」

「とにかく海は却下。どうせ男の人ナンパしたいだけでしょ?」

「いいや、女の子にも声をかけるさ!」

「雑食め・・・」

「俺は男女共に平等な愛を注いでるだけですーだ!」

そう。これは張間矢霧カップルとまではいかないが、そこそこ有名な幼馴染みカップルのデートの話し合いである。

「そういうのさ、止めて欲しいんだけど。」

「えー、なんで?」

「気が気じゃ無いし、危ないし、何よりさ、僕が居るでしょ?僕だけに愛を注げば良いんだよ。」

「みかど・・・」

「というわけで海は却下」

「ええー!」

半身を机に倒して落ち込む正臣に帝人は囁く。

「さっきの理由もそうだけど、やっぱり正臣の水着姿は誰にも見せたくないんだよ」

「っ・・・!」

その言葉に声をつめ、真っ赤に染まった正臣の長い髪を指先で弄びながら帝人は次の意見を出した。

「別にさ、夏って言ったら海、だけじゃないでしょ?ほら、こんど花火大会あるし、そことかどう?」

「花火!祭!!」

途端元気になる正臣に苦笑しながらも頭を撫でれば幸せそうな顔をする。

「祭かぁ・・・なぁ、浴衣!俺帝人の浴衣姿見たい!」

「ええっ!?僕の!?」

「うん!俺もちゃんと女物の浴衣着ていくからさ、浴衣デートしようぜ!」

帝人は浴衣デートというワードで、昔の夏祭りを思い出した。あの時はてっきり女の子の浴衣を着てくると思ったにも関わらず、男物の浴衣を着てきた正臣の胸元に視線を泳がせたものである。

「本当?まぁいい加減男物はやめた方が良いけどね。」

「楽なんだけどなぁー」

「視線の行き場に困るから、やめなさい。」

「ちぇーっ」

膨れた頬を軽くつついてやれば、プスーと情けなく抜けていく空気。

「じゃあさ、可愛い女の子の浴衣、一緒に見に行く?」

何気なく発したその言葉にバッと上体を起こすと目をキラキラさせて正臣は叫ぶ。

「やった!帝人の奢りなっ!!」「えぇっ!?」

「だってさ、俺に可愛い浴衣着て欲しいんだろ?だから、買って?」

きゅるん、という効果音が付きそうな上目遣いをされて帝人は押し黙る。

そしてあれこれ考えた後にコクンと頷けば抱きつかれた。

人並み以上に大きく育った彼女の胸は、何とも気持ちが良い。この感触は中々無いよなぁ、などと考えては自分の変態さ加減に嫌気が差すのだが。

「じゃあさ、次は買い物行くデートの予定を立てよう!」


この言葉に、祭に行く日が遠退いて行くような感覚に襲われた。














何事も計画の段階が一番楽しいのです

(本当は浴衣姿だって見せたくないんだけどな。)(まぁ、水着よりはいっか。)






というわけで、ついに正誕リクエスト最後です!
「帝正で女体で甘々」ということでしたが、甘々になってるようななっていないような・・・?

では、ユカ様!正誕リクエストご協力ありがとうございました。












100717



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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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