ガラリ、と教室の扉が開き正臣が帝人達の教室に入ってきた。
「帝人ー、杏里ー、帰ろうぜ!ってあれ?杏里は?」
教室内に杏里が居ないことに気がついたらしい正臣はキョロキョロと忙しなく目を動かす。
その様子を見ていた帝人は小さく苦笑した。
「園原さんは用事だって。だから、」
おいでよ。両手を広げて待つ帝人に正臣の視線は先程とは違う動きかたをする。
そして意を決したらしくタタタ、と駆けよってそのまま帝人の胸に飛び込んだ。
「だ、誰も居ないから抱きついてやるんだからなっ」
小さく溢したその言葉に頬が緩むのは仕方がないことだと帝人は心のなかで言い訳をする。
(だってこんなに可愛い正臣が悪い。)
「正臣、」
「んー?」
帝人の肩口に額を当てている正臣な顔が緩やかに上げられる。
「誕生日おめでとう。」
その事によって現れた耳に流し込んでやれば一気に染まるそこ。
「・・・朝きいた」
「あれは親友の竜ヶ峰帝人からの言葉。これは、恋人の竜ヶ峰帝人からの言葉。」
「っ、」
恋人、というワードに異常なほど反応した彼が可愛くて面白くて、何かちょっかい出したくなって。
「ひゃぁ、な、っあ!」
思わず目の前にあった耳に飛び付いた。
ペロペロと舐めてから優しく甘噛み。それからちゅうっと吸い上げて紅い痕を残す。
「みか、おま、何やって・・・」
「うーん、僕からの誕生日プレゼント?」
「っ、嬉しくない!」
「安心して、夜はもっと楽しませてあげるから。」
にっこりと笑ってやれば何かを言いたそうに口をパクパクしていた。
そして、やっと言葉として纏められたらしく、口を開こうとした瞬間、
「すいません、遅くなって!」
「っ!?」
「あ、お帰りなさい。」
杏里が帰ってきた。
慌てて帝人から離れた正臣は俯いて立っている。
普通な人なら怒っていると勘違いしても良さそうなほど険悪な雰囲気を醸し出して。
しかし、帝人は知っているのだ。
さっきまで舐められていた耳が、まだ赤みを持ったままだということを・・・
幼馴染みで恋人(なんて、すごく王道だと思いますよ)(てゆうか、やっぱり出来てたんですね。知ってましたけど。)
あわわわわ、杏里の出番が少ないっ・・・!せっかくの腐女子杏里だというのにっ!
すいません。
では麻様、リクエスト協力ありがとうございました!
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