似合う物は似合うのです。
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「いやー、やっぱり杏里はエロ可愛いなぁ!」

「えぇ!?わ、私はエロ可愛くは・・・」

「前から思ってたんだけど、そういう正臣だって十分エロ可愛いよね。」

「そうそう、俺の・・・・って、エロ可愛い!?おま、いつもの冷たく完璧なツッコミはどうした・・・!」

「なに正臣。僕に冷たくされたいの?もしかして・・・あ、もしかしなくても正臣はMだけど」

「もしかしなくてもって!だいたい俺はMじゃない!」

「私も、エロ可愛いとMはあってると思います。」

「あ、杏里まで!?」

「ほら、園原さんの言う事に嘘偽りがあった事なんてあった?」

「ううぅー、そうだけど・・・」

「そんな・・・あ、ここのお店入って良いですか?」

「ん?ああ、ここかー。よし行こうぜ!」

二人の手を引いて歩き出した正臣に前のめりになるようについていく帝人と杏里。ちりりん、と可愛らしい音と共に店内に入れば可愛い雰囲気に飲み込まれそうになる。

「あ、あの、ちょっと向こう見てきますのでお二人はここらへんで待ってて下さい。」

言うが早いか駆け出してしまった杏里に驚きながらも適当に時間をつぶす。

「なあ、これ杏里に似合いそうじゃね?」

正臣が手に取ったのは花のついた髪飾り。淡い黄色の花弁がなんとも夏らしさを醸し出している。なんとなく手に取ってそのまま手を上に伸ばす。

「へ?」

「あー、でもこれは・・・うん。正臣の方が似合うよ。」

「っ!!」

「正臣はなんでこういう花とか似合うんだろ・・・ああ、笑顔がっていうより正臣そのものから花が飛んでるからか。」

「っ・・・」

「どうしたの正臣、顔真っ赤だけど?」

「ううううるさい!そう言う方向で攻められるのは慣れてないんだって!」

「それは僕に罵ってって言ってる?」

「言ってない!」

シャー、と牙を剥きそうな正臣を分かってるって、となだめてから先ほどの花を手に取る。

「どうするんだ、それ」

「ん?買うんだけど・・・?」

「よし、一応聞こう。・・・誰がつけるんだ?」

「正臣に決まってるじゃない。」

「なんで!」

「僕、正臣とお祭り行く時とかこれ付けて来てくれたら何でもおごっちゃうかも、って思ってさ」「よし、買うんだ!」

「・・・ゲンキンだよねー・・・」

はあ、と小さく溜め息を吐いてからレジへと向かった。
商品をポン、とカウンターに置いて財布を取り出す。と、黒い何かが視界の端にちらついたような気がした。

「やあ、帝人くん。杏里ちゃんへのプレゼントかい?」

「・・・何でここに居るんですか。」

嫌々顔を上げるととても良い笑顔の男がそこに居た。黒が似合う、というよりも存在が黒い彼にこの店は似ても似つかない。

「うーん、社会見学?」

「臨也さんは一体おいくつなんですか。」

「俺は永遠の21歳さ!・・・875円です」

「年齢の割に老けてますね。」

「・・・意外と辛辣だねえ。」

「褒め言葉として受け取りますよ。・・・1000円で」

「君はいつでも俺の予想外の返答をくれる。これだから飽きないんだよねー。・・・ありがとうございました。」

「あ、正臣には近づかないで下さいね?」

「・・・・考えておくよ。」

レジから帰ってくれば正臣は帝人に駆け寄る。

「なあ、レジの人って・・・」

「永遠の21歳さんだって。」

「・・・やっぱり。」

よかった、行かなくて、と胸を撫で下ろす正臣の頭をポンポンとしてやれば肩の緊張はほどけたみたいだ。と、そのとき

「あの、遅くなってすいません・・・!」

杏里がやってきた。

「おかえりー。全然大丈夫だよ。」

「おお、お帰り!何買ったんだ?」

「はい、あの、その・・・き、紀田くんに!」

ば、と差し出されたそれ。顔を赤らめて差し出す杏里は何だか可愛らしくて思わず受け取る。

「あ、ありがとう。開けても良い?」

「はい!」

どきどき、という気持ちを顔いっぱいに出す杏里に微笑んでから包み紙を開けた。
そして現れた物に正臣は固まり、帝人は吹き出した。

「くくくく、あはははは!園原さん最高だよ!」

「ええ、っ、え?」

きょどる杏里に帝人は事情を説明する。

「僕もね、さっきその花正臣にプレゼントしたんだ。」

そう、正臣の手には淡い黄色の花弁がなんとも夏らしさを醸し出している例のあれ。

「えええ、そんな、ごめんなさい・・・!」

「ねえ、正臣。僕のやつと園原さんのやつ、両方つけてよ。」

「ええ?そんな・・・ごめんなさい、紀田くん・・・」

フリーズしていた正臣はその杏里の言葉で我に戻ったらしい。

「良いって!杏里からの贈り物だぜ?大切に使う。あ、もちろん帝人のやつと併用で!」

にか、と笑った正臣からは哀愁が漂っているように見えた。













似合う物は似合うのです。

(あーあ、二人ともプレゼントしたんだったら)(俺のは要らないかな)









正臣にはきっと黄色いお花の髪飾りが似合う、という事を主張したかっただけの話になりました。
そして誕生日全く関係ない・・・激しく関係ないですね・・・・

では、正誕協力リクエストありがとうございました!


100707



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テーマ「人外ファンタジー」
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