カチャリ、と外からカギを開けるような軽い音がした気がして、なんとなく横になっていた身体を起こした。
続いて静かにドアが開く音。そして意図的ではないはずなのに響く事のない静かな足音が近づいてきた瞬間に、正臣は全てを理解した。
ガチャ、と部屋のドアが開く音と共に口を開く。
「何のようですか、こんな夜遅くに。」
「やあ正臣くん。こんばんは。」
「今何時だと思っているんですか。帰って下さい。」
カチ、と動いた時計が指すは23:59の文字。
「ていうか、何で俺だって分かったの?あぁ、言わなくて良いよ。俺に対する愛だって言う事は分かってるからね。嬉しいなあ、嬉しいなあ!やっぱり正臣くんはツンデレだったんだね」
「・・・黙れ変態。人の話聞けよ。」
はあ、と深い溜め息。もう諦めたけど、と脳内で呟いて俯けばいつの間にか近づいてきていた臨也の指が正臣の顎を捉えた。遠くでカチ、カチ、と秒針が動く音が聞こえる。クイッ、と指に力を込めれば臣の顔が臨也の前に曝された。そして、カチっ、と大きな音が響くと同時に合わせられた唇。
「っんむ・・・ん・・・あ」
下を差し込まれ縦横無尽に動き回るそれに簡単に酔いしれる正臣。顔を赤くして臨也の服にすがるようにしがみついて。涙を溜めてキスに溺れる。
暫くして解放された正臣の唇は二人の唾液でてらりと光っており、なんともいやらしい。
「い、ざやさん・・・・」
「誕生日おめでとう。」
「え、ああ・・・もう日付変わりましたか・・・ありがとうございます。」
ふにゃり、と笑いかけられ臨也は不覚にもドキリとする。純粋な笑顔など見るのは初めてといっても良いだろう。とにかく自分に向けられた事のない柔らかい笑顔に心臓が早鐘のように打ちなる。
「ねえ、臨也さん・・・もう一回・・・」
そう言って自分から再び唇を合わせてきた正臣に今度こそ臨也は度肝を抜かれた。普段ならキスされる事さえ拒む彼だというのにこの状況は何なのだろうか。求めてきて、更に自分から、だなんて。
「あ・・・ふあ・・・ん・・・・」
そんな事を考えている間にいつの間にか正臣に誘われたらしい臨也の舌は正臣の口内を犯す。いつになく積極的な正臣の痴態と、口の中の熱さに臨也は軽い目眩に襲われた。しかし何とも嬉しい状況ではある。驚きのあまり中を彷徨っていた手を正臣の後頭部に回して更に深く口づけようと押さえる。そしてそのままベッドへと押し倒した。二人分の重みを支えているベッドはギシリ、と鈍い音を立てたが今はそんな事を心配する心の余裕などない。噛み付くようなキスへと変化させれば主導権はいつの間にか臨也へと移っていた。
「あ、ふああ、はふ、ん・・・あっ、」
ドンドンドンと力なく叩かれた胸板に気が付き口を離して長い接吻に終止符を打つ。
「今日はやけに積極的だね。」
にっこり微笑んでそう言えば、正臣の頬はしばしば紅潮する。
「だって・・・臨也さんとのきす・・・気持ちいい・・・」
とろん、とした目で零れたそれは間違いなく彼の本音で。同時に首に回された腕に力がこもり臨也の顔を引き寄せて、
「誕生日プレゼントには・・・臨也さんが・・・・良いです・・・」
なんて。
「本当、君は俺を飽きさせないよね。・・・良いよ。今日は俺を君にたくさんあげる。」
その言葉に満足げに微笑んだ正臣はそのまま臨也へと近づいた。
0時という特別な時間。
(0時からが本当の君で、)(偽りの姿 ( は0時まで、ってことかい?)
デレ正という事でしたが、もの凄く急激に変わりましたね、これ・・・
デレ正楽しいですデレ正!つん正も書きやすくて大好きですけど!←
では、霧亜様、正誕リクエスト協力ありがとうございました!
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