いつものあの溜まり場へと向かう。
こっちに出てきてから初めて出来た自分の居場所と仲間。仲間と言うには少々荒々しすぎるような気がしないでもないが、正臣はそれでも良いと思っている。
今は廃屋となってしまった何処かの会社の倉庫。前にたって深呼吸を一つ。そしていつもとは違う仲間専用の顔―――所詮裏の顔というやつだ―――を貼り付けてドアを開けた。
「っ!?」
ガラガラガラ、という音と共に現れた情景に目を見張る。
「「「「ハッピーバースデー、紀田さん!」」」」
「こ、れは・・・?」
黄色、赤、オレンジ、といった暖色が和繋ぎとなって壁一面に飾られていた。そして大きく『紀田さん、誕生目おめでとうございます』の文字。
「紀田さんの誕生日が今日だと聞いたので!」
「水臭いっすよ!何で教えてくれなかったんすか!」
「俺たち、こんなに紀田さんが好きなのに!」
「ということで誕生日会です!」
にっこり笑った彼らは次々と正臣に抱きついて、祝福の言葉を投げ掛ける。
「ありが、とう・・・っ」
彼らの優しさが胸に染み込み広がっていく。込み上げてくるものを感じながら静かに瞳を閉じれば、一筋の涙が頬を伝った。
「紀田さん?」
「泣かないでください・・・」
「ばぁか、これは嬉し泣きっつうんだよ・・・」
泣きながら、しかし綺麗に微笑んだ正臣は抱きついていた彼らの頭を撫でる。
「てゆうか、誕生日の日、目になってるし・・・誕生目ってなんだよっ・・・」
ケラケラ笑いながらたしなめれば、彼らはむうっ、と頬を膨らませる。
「だって急いでたんっすよ?紀田さんの誕生日が今日だって、さっき聞いたんっすから!」
「悪かったって。でもさ、ありがとな。」
そういって正臣が微笑めば周囲の空気はは一気に和んだ。
と、そんな時に一本の電話。
「はい、俺・・・わかった、直ぐに行く。」
「紀田さん?」
「仲間がやられたって。行くぞ!」
そこに先程までの正臣は居らず、ただ番長としての“紀田正臣”の顔があって。
「「「「はいっ!」」」」
彼らの顔も直ちに引き締まる。
そして走り出す。
「紀田さん!」
「どうした?」
「俺たちのグループに、名前とかつけませんか!?」
「どういうことだ?」
「ほら、山本組とかあるじゃないですか」
「あぁ・・・じゃあ黄巾賊」
「あ、じゃあ紀田さんは将軍っすね!」
「うーん、まぁそう言うことになるのか・・・?」
そう返して空を見上げる。
そこに見えるのは遠くに置いてきた幼馴染みの姿。
(また、帝人に話せることが出来た。)
そう思うと、自然と頬が緩んだ。
その後、ブルースクエアとの初の交戦となるのだが、それはまた別のお話・・・
将軍が生まれた日!
(俺たちみんな、将軍が大好きです!産まれてきてくれてありがとうございます!)(っ・・・ありがと)
将軍正臣の誕生が正臣の誕生日だったら萌えるな、と・・・!
補足しなければならないような小説ですいませんorz
では、正誕リクエスト協力ありがとうございました!
100702