某月某日デート日和。
「おっはよーございまーす!」
「よう。」
頭から爪先まで気合いが入っているように見える正臣に心が踊る。
でも物色していたように思われるのが嫌だから言わない。それに何だかドキドキしているのがバレるのは恥ずかしい。
「じゃあ行くか。」
「はいっ!」
トテトテと後ろをついてくる正臣が小動物のように見えて顔がにやけそうである。
「静雄さん、静雄さん!昨日髪の毛切ったんですよ!どうですか?」
「良く似合ってると思う。」
「えへへっ、ありがとうございます。」
「あと、その靴新しいやつか?」
「えぇっ?何でわかったんですか!?」
「見りゃわかる。」
ふふふ、俺愛されてますね。そう言ってニコニコわらう正臣が可愛くて思わず抱き締めそうになったがここは街中だと自分を律した。
「あのっ・・・」
そうすれば、後ろから小さく声をかけられ服の袖を引っ張られる。
「どうした?」
優しく問いかければ顔を赤らめる正臣。
「その、」
意を決したかのように顔を上げたが、やはり羞恥が勝ったのだろう。バッと俯くと小さな声でボソリ。
「手、繋ぎませんか・・・」
「っ、」
「あああ、やっぱりやっぱり!忘れてっ・・・え?」
グイッと手を繋いで引っ張ってやれば呆気にとらわれる彼。
「ほら、買い物行くんだろ?」
にっこりと笑った静雄に顔を綻ばせ、そして。
「はいっ!」
ゆっくりと握り返すと隣を歩く。
自然と二人の距離が近くなる。
(あー、やばい。)
静雄は空を仰ぐ。
(ドキドキが)
正臣は俯きながら。
((聞こえてしまいそうだ。))
二人同じことを考えて、二人して顔を赤らめて。
そんなこんなで歩くうちに交通の多い通りに出る。
正臣は隣から伝わってくる温度にドキドキしっぱなしなのか、一切顔を上げようとしない。
「っ!!」
そんなとき、静雄の方向から凄い引力を感じ、暖かい何かに体が包まれた。
「轢かれるだろ。危ねぇなぁ」
声が上から降ってきたのを感じ、正臣はやっと抱き締められていることに気づく。
そのまま背中に腕を回してギュッと抱きつけばふい、と逸らされる顔。「ありがとうございます。」
「別に・・・」
そう言いながらも頭の上に置かれた手の温もりに正臣は目を細めながら思う。
(あー、やばい。静雄さんとに会うたびに惚れ直してる)
こんなかっこいい人が俺の恋人なんだと思うとむず痒いような、嬉しいような気持ちになり、しかし温もりに埋もれながら幸せに浸るのだった。
世界で一番王子さま!
(こちとら静雄さんが好きすぎて、)(生きるのが辛いっての・・・)
というわけで、「ヘタレ時々男前な静ちゃんと正臣くんの話」でした!
ヘタレ時々男前、と見た瞬間に浮かんだのがWIMでしたので、その世界観で書かせていただきました!所々のセリフや地の文に出てきてます。
ただ、どちらかシズちゃんがツンデレな感じがしますがヘタレなだけです。
では、七草様!前回の10000hitに続き、正誕リクエストまでにも協力して下さり、本当にありがとうございました!
凄く嬉しかったです。
100710