薬より効く薬
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ケホッ、

「大丈夫?水分取ったほうが良いよね。ポカリとアクエリどっちが良い?」

「水・・・」

「えー、栄養摂らなきゃだよ。」

「じゃあポカリで・・・」

「ん、」

珍しく熱を出した正臣に付きっきりで看病する帝人。普段元気な彼が顔を真っ赤にしながら息をするのも辛そうな姿は中々痛々しいものがある。

「はい熱はかって。」

「うん・・・」

上気する肌が呼吸で上がり下がりするのを見て不埒な考えに至るが頭を降って頭を初期化した。

ピピピピ、と鳴ったのを確認してから体温計を見ればそこには38.9の文字。

「うわっ、凄い熱!てことは冷えぴたもう効いてない?変えなきゃね。」

パカッと新しい冷えぴたを取り出しビリビリと袋を破る。

「おでこ出して、」

ぺりぺりと薄いプラスチックをはがしながら言えば、そっと持ち上げられる長い前髪。普段見えることの無い前髪がかくしていた額はニキビ一つ無く、とても綺麗である。
思わずそこに唇を近づける。

「ぅん?どうした・・・?」

とろんとした目で見つめてくる正臣に、熱が下がるようにおまじない、などと口からでまかせを言えばなーんだ、とフニャリと表情を緩めた。

ぺた、と可愛らしい効果音を発しながら正臣の額へと張り付いたそれの冷たさがひどく心地良いらしい。

「冷たくてきもちい・・・」

先程よりは少し楽そうにも見える。そんな彼を見ていると安心したのだろう、腹の虫が鳴いた。そういえば、と帝人は思い立つ。自分が食べていないのと同じように彼もまた、何も食していないのではないか、と。体調が悪いときは薬よりもまずは栄養バランスのよい食事である。
この寂しい部屋に彼一人を置いていくのを少しためらうが、少しの間だから、と胸の中で謝り立ち上がった。



が、服のすそに違和感を感じ、それ以上足を進めることが出来なかった。

「どうしたの?」

くい、と握られたそこ。顔を布団で隠しながら上目遣いに見つめてくる。

「どこいくの・・・?」

「台所。そろそろお腹減ったかなって。」

そういって微笑んでも一向に離してくれる様子は無い。それどころか視線をさ迷わせている。そして完全に布団に隠れてしまった正臣。しかし裾は掴んだまま。

「正臣ー、離してくれないと僕料理できないんだけど?」

「・・・いで」

「え?」

「置いてかないで」

よく見れば裾を掴む手は震えている。そして顔まですっぽりかぶっていても隠し切れない赤らみ。熱のそれではない赤さは帝人を刺激する。しかし相手は病人である。帝人は彼の中にある理性を総動員させてなんとか耐えた。
ポン、と頭の上に手をのせて優しく諭す。

「置いていきたくないけどさ、ほら、何か食べないと薬飲めないよ?」

「・・・帝人が居れば薬なんて要らないもん」


そっぽ向いて頬を膨らませて。

「俺にとっては帝人が薬だもん」

だなんて。

(ああもう、何でこんなに・・・!)

思わず抱きつけばやはりいつもよりも高い体温。少し罪悪感が残るがそんなもどうでも良かった。

「うーん、分かった。じゃあここに居てあげるね?」

「うん、ありがと」

にっこり微笑む天使に爆弾を投げ込む用意は既に出来ている。

「でもね、何も食べないってことは養分が摂れないっていうことだよね。」

唐突に変化した帝人の表情に正臣はビクリと震えた。

「な、にを」

「それと、風邪の時はやっぱり汗かかなくちゃ。」

「お、おい・・・」

身体を持ち上げた時に鳴ったぎし、という音が妙に生々しくて思わず笑う。

「と、言うわけで、お注射しなくちゃね?」

我ながら凄い言い回しだと思う。

「っ、帝人のエロおやじっ」

その言葉を飲み込むように口付けを施してやった。














薬より効く薬

(お注射とか、どこのAVだよっ!)(まぁそこは気にせずに。)



「正臣が風邪ひいちゃって帝人が看病をするんだけど正臣がかわいすぎて・・・」ということでした!正臣が顔赤らめて目うるうるさせてたらいつもに増してエロさ無限大ですよ!というどうでもいい主張をしておきます。

ではあい様!正誕リクエストご協力ありがとうございました!

もはや正誕ではなくなってきているのは気にしてはならない事実です。








100712



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