忘れていた日
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何だかおかしい。そう思い、本日何度目かの溜め息を吐いた。
家を出た時は確かに何も持っていなかった・・・はずだ。
あ、いや、それだと誤解を招くかもしれない。確かにケータイと財布は持っていた。それは否定できない。
しかし、だ。

「あ、紀田じゃねえか。ほらよ、プレゼントだ。まあなんだその、財布この前欲しがってたな、と思ってよ。」

俺は別に静雄さんに財布を買ってくれと頼んだ訳も

「あー、紀田くん!はい、プレゼント!着るのはうーん・・・みかみかの前かイザイザの前かシズちゃんの前でね?あ、ドタチンでもいいけど!」

もちろんピロピロしている服を買ってくれと頼んだ訳も

「はい!氷で紀田くん作ってみましたー!小さいサイズですし、ドライアイスで冷やしてるから暫くは保つはずっすよー!」

はたまた自分の氷細工を作ってくれと頼んだ覚えはない。更には

「今日という特別な日に君の特になる情報を一つあげるよ。今回は報酬要らないよ。・・・・・・・・・甘楽のスリーサイズはなんと!俺と同じ!きゃっ!」

などと全く必要のない(甘楽はお前のネット上の名前だろと言いたい。まじ死ねよ)情報までもらう始末。
これだけプレゼントを貰うのだから何か特別な日なのだろうと思うが全く思い出せない。
プレゼント、と呼ばれた物達が俺の腕に山を作っていく中で思わず首をひねった。
と、その時前方に見慣れた影。

「みーかどっ!」

「うわあ!」

「何してんだー、こんな所で?」

「何って正臣の・・・・って凄い量のプレゼント!」

まじまじと見つめる帝人。そして一言

「愛されてるね」

だって。誰が誰に、というのは聞かないでおく事にしてはっと気が付く。
もしかしたら帝人は何かを知っているかもしれないと。

「なあ帝人?」

「どうしたの?」

「今日って何の日だっけ」

ぽとり。帝人の持っていたケータイが手から滑り落ちた。

「お、おい帝人!?」

こいつがケータイを落とすなんて珍しすぎて焦りながら拾い上げれば帝人はまだ一時停止をしたままだった。

「みかど?」

下から見上げれば、はっと気が付いたかのように意識を取り戻す。

「本当に覚えてないの?」

「え、あ、うん・・・」

正直に答えればはぁ、と深い溜め息を吐く帝人。疑問符を頭上に浮かべている俺の肩に手を置いて一文字一文字力を込めて言われた。

「今日は、正臣の、誕生日。」

「へ?」

頭がついていかない。今日は誰の何だって?

「だから、正臣の誕生日!」

「へ、俺の!?」

「そう。」

「きょ、今日の日にちは?」

「6月19日」

帝人が見せてきたケータイの画面にはしっかりと6月19日という文字が刻み込まれていた。

覗いた際に見えた待受画面が俺の写真(しかもピン写)だったことはこの際気にしないことにする。

「うわぁ・・・忘れてた・・・」

項垂れればパッと取られた右手をギュッと握られて。

「じゃあさ、ついでだし一緒に買いに行く?正臣の好きなもの買ってあげるよ。」

にっこりと微笑みかけられた途端少し熱くなった頬は気のせいだと言うことにしておこう。














忘れていた日

(とりあえず帝人にありがとうって言おう。)(それから皆にもお礼言わなきゃな。)






愛され正臣です!
若干帝正風味?え、何の事で(ry
総受けと言われれば指定がなければ勝手に帝正になる罠。
だってここは帝正中心サイト・・・!←


では千之様、正誕リクエスト協力ありがとうございました!




100630



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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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