「ややっ!そこに居るのは紀田さん?」
「・・・・・・久(久しぶり)」
「あー・・・と、確か臨也さんの妹さんの・・・九瑠璃ちゃんと舞流ちゃん?」
じり、と滲み寄る二人に若干後退りながら返答すれば、
「わー!覚えていて下さったんですか?」
「・・・喜・・・(嬉しい)」
と目を輝かせた。
そしてそのまま腕に抱き着かれてしまい正臣は本格的に焦る。
女の子は好きだし、正直二人は可愛い。正臣だって男だ。両腕に可愛い女の子が抱きついているのに嬉しくない筈がない。
しかし、正臣はこの二人の事を良く知っているわけではない。来良学園の後輩らしいことと、双子であること、そして折原臨也の妹であることしか知らないし、直接あって話した事など一度有るか無いかである。そんな二人に急に抱き着かれても正臣は喜んで良いのかいけないのかわからなかった。
取り敢えず離れて欲しいという気持ちを伝えようと口を開く。
「あ、の・・・俺的には大変喜ばしい状況なんだけど、さ・・・あの、変な気を起こす前に離れ」
「あはは!やっぱり紀田さん可愛いっ!」
「・・・・愛・・・(可愛い)」
「いやそうじゃなくって、あの、離れ」
その時両頬にふに、という柔らかい違和感。
続いてちゅ、という可愛らしい効果音で正臣は事の全貌を知る。
「ーーっ!ーーっ!」
流石に普段どれだけ女の子をナンパしてても正臣は健全な高校生。女の子からの口付けはやはり照れるのだろう。
そんな正臣に気づいた舞流はニヤリと笑い、ツンツンとほっぺたを突つく。
「あは、やっぱり紀田さん可愛い!食べちゃいたい!」
「・・・狡・・・混・・(舞流だけ狡い。私も混ぜて)」
二人の会話にぞわわわ、と冷たい何かが背中を駆け上ってくる。
(え、何、おれ食べられちゃうのっ!?)
既に正臣の脳はそれだけでいっぱいだった。
そして気付いたときにはその場に押し倒されていた。
「ではいただきまーす!」
「・・・戴・・・・」
ヤル気満々な二人に正臣は現実に引き戻される。
「へ、ちょっと、待った!いや待って!」
するりと腹筋を撫でられてぞくり。
「・・・否・・・(嫌です)」
同時に背中も撫でられる。
「大人しく食べられてっ?」
そしてパーカーが、
「え、ちょま、待ってって」
捲られそうになった時、何処からか伸びてきた手によって正臣は救い出された。
「はい、そこまで。」
「臨也、さん・・・?」
「あら臨也お兄様、ご機嫌麗しゅう。」
「・・・久・・・兄・・・(久しぶり、臨也お兄様)」
「九瑠璃、舞流。お前らに許したのはほっぺにチュウまでだったけど?」
ため息混じりにそう言って正臣を抱きしめると、耳元でゴメンね、と囁いた。
「あら、怖がらせてしまいましたか?それは大変申し訳ありませんでした。私達はいつも臨也お兄様の相手をして下さってる紀田さんが先日お誕生日を迎えられたとお聞きしたのでそれのお祝いをしたのですが・・・」
「・・・謝・・・(ごめんなさい)」
「へ、あ、そうなの・・・か?」
コクリと頷いた二人に、正臣は笑みを浮かべる。
「そっか、ありがとう」
至極嬉しそうに言い放ったそれに、双子の頬は淡く紅潮した。
「いえ、こちらこそ素敵な笑顔をありがとうございますわ。では、私達はおいとま致します。ごゆっくり?」
「・・・機・・・(さようなら)」
すたた、と逃げるように帰った二人に疑問符を浮かべる正臣に苦笑する臨也。
「ほんと、天然タラシだよね、正臣くん」
「?」
首をかしげている正臣を抱き締めると、おずおずと背中に回った腕に頬が緩む。
「いや、なんでもない。」
「お誕生日おめでとう」
力が込められた腕にやっぱり可愛いと再度抱き締めた。
可愛い可愛い兄の恋人
(ほんとに食べちゃいたい程可愛い!)(・・・・肯・・・)
九瑠璃と舞流のキャラがまだ掴めてない感ありありですいませんorz
うみねこ様!ご協力ありがとうございました。
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