「せーの、」
「「お誕生日おめでとう/おめでとうございます!」」
パンパン
「ありがとうな、二人ともっ」
クラッカーが鳴った途端、正臣の黒と白しかない実に簡素で質素な部屋はキラキラとした空間へと早変わりした。
テーブルの上にはホールケーキが一つ。純白なクリームの上に大きく真っ赤なイチゴがちょこんと乗っており、さらにチョコレートのプレートには平仮名で「まさおみくんへ」と綴られている。
「ふふっ、なんか嬉しいな、こういうの・・・」
ぼそりと呟いたそれは帝人たちにも聞こえていたらしい。
「それは嬉しいな、僕らとしても。」
「喜んでいただけて嬉しいです。」
にっこと微笑んだ二人に思わず赤面する。
「・・・ありがとう。」
俯いて耳を真っ赤にさせた正臣に二人はまた和やかな笑みを浮かべていた。
「気にしないでください。では、ケーキ切りましょうか」
「そうだね。正臣にはちゃんとチョコレートあげるからすねないでね?」
「帝人!俺はそんなにおこちゃまじゃないぞっ!?」
「知ってるってば。もう16歳だもんね?」
ポンポンと頭を撫でられ条件反射で目を細める。
が、しかしこれではだめだと目を開けばやっぱり帝人と杏里は笑っていて、
「今!まさに今子供っぽいとか思っただろっ!」
「思ってない思ってない」
「嘘だっ!」
プクッと膨らんだ頬を押せばプスーと抜ける空気。間抜けな音に三人とも声を上げて笑った。
「あははっ、間抜けな音っ」
「おまえのせいだろぉっ!くくく、プスー、だってっ、ふははっ!」
「ふふふっ面白いです。あ、ケーキ切れました。」
「本当か!?さすが杏里!よし、食おう!」
ケーキと変な音のせいでその前のやり取りは完全に忘れてしまったらしい正臣。フォークを握ってニコニコしている。
「単純だよね、正臣って・・・」
「ん?何だ?」
「ううん、食べよう?」
「はい、どうぞ。」
杏里が正臣に差し出した皿にはイチゴが二つとチョコレート、そして綺麗に切り分けられたケーキが一切れ。
「うあ・・・うまそう・・・頂きます!」
ぱくん、もぐもぐ。口に含んだ瞬間から顔が緩む正臣を眺めて帝人はなんとも穏やかな気持ちになる。
「うまっ・・・やばいぞこれ!帝人も杏里も食べてみろって!」
頬にクリームをつけながらうまいうまいとほおばる正臣はなんと可愛いのだろうか。
(天使がいる・・・ここに天使が・・・)
右手で正臣の頬のクリームを掬って自分の口に運びながらしみじみと感じた帝人であった。
♂♀
「ふあ、よく食べた・・・」
ころん、と後ろのベッドに凭れる正臣に苦笑する。
と、突然杏里が立ち上がった。
「あ、あの・・・すいません今日ちょっとした用事があって・・・」
申し訳なさそうに視線をさ迷わせながら告げる杏里に正臣と帝人は少し寂しそうな顔をする。
「え、あ・・・そっか。用事あるのにわざわざ来てくれてありがとうな。」
「園原さん、ごめんね?僕が無理言って連れて来ちゃったかな・・・?」
「あ、いえ違うんです。あの、すごく今日の会は楽しかったです。こちらこそありがとうございました。」
ペコリと頭を下げてから荷物を持ち上げそのままスタスタとドアへ向かった杏里に二人は焦った。
「って、杏里、俺送るぞ?」
「僕も送るよ?」
「あ、いえ大丈夫です。竜ヶ峰君は紀田君の事をお祝いしていてあげてください。」
言うが早いかパタン、と玄関から出て行ってしまった。
静かな時間が流れる。
二人してぼーっとドアを見つめていた。
そして何分かしてわれに返った帝人は正臣に話しかける。
「ねえ、正臣?」
「んー?」
「これから一緒に買い物いこっか。」
「えっ!?は、い、今から?」
バッ、と部屋の時計を見れば、もう既に7時を回っていた。
「うん。ほら、正臣への誕生日プレゼントとか買いたいしね?」
「え、でも・・・俺はもうこれで満足って言うか満足の最上級で、だから、別に誕生日プレゼントは、」
「僕があげたいんだよ。だってさ、」
一応僕たちは恋人同士なんだから、そういえば正臣の顔はボッ、と熱を持つ。
「っ、み、かどがそこまで言うなら仕方ないな!行ってやる・・・」
そっぽ向きながら言う彼にやっぱり愛しさがこみ上げてきて、
「じゃあ、エンゲージリングでも買いに行く?ジューンブライド、みたいなさ?」
「っ、ばか・・・!」
真っ赤になりながら罵倒したって何の効果もないのになんて、正臣の手を引きながら思った。
特別な君に特別なプレゼントを。
(ちょ、手引かれなくても俺外まで出れるってば!)(僕が引きたいの。)
麻様!さっそくのリクエストありがとうございました!
ほぼ会話文&低クオリティーですいませんorz
帝正おいしいですはぁはぁ
100619