特別なショーを君に
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※時間軸グチャグチャです
※シズちゃんバーテン時代に正臣は社会人




カランカラン、という音と共に一人の男が入ってきた。
その足は迷わずバーのカウンター右端、壁と隣り合っている席へと向かう。クルリと椅子を回して座れば、目の前にいたバーテンが恭しく礼をした。

「いらっしゃいませ、紀田?」

「ふふふ、静雄さんこんにちは。いつもの、お願いできますか?」

「ん、ちょっと待ってろ」

「はぁい」

腕を組んで足を揺らしながら出来上がりを待つ。ネクタイはとっくに緩められており、チラリと見える鎖骨がなんとも涼しげだった。
そんな正臣を横目に捉えながらシャカシャカとカクテルをつくる。
そしてそれとは別に違うカクテルの用意。材料だけを整えて席の前まで行けば、目を輝かせる正臣に頬が緩んだ。

「ほら、いつもの」

「うわぁ、いつ見ても静雄さんの作るカクテルって美味しそうですよね。」

そして一口。うん、味も最高です、なんて言って微笑む。

「それと、」

手に持ったワイングラスを指先でクルリと回してボトルを持つ。

「え?」

目を白黒させているが、気にせず続けた。

「紀田の為に特別ショーをしてやるよ。」

再度クルリと回したグラスには、高級なワインが注がれた。

クルクルと回る。
指先で、身体で、肘で。
正臣が気が付いたときには目の前に二つ目のワイングラスと、小さく添えられたメッセージ。

「お前、今日誕生日だろ?」

上から降ってきた声に小さく頷けばワシャリと頭を撫でられた。


「俺からの誕生日プレゼントだ。」

たまにしか見れない笑顔を向けられ、正臣は赤面する。
そしてそれを悟られないようにバッと下を向くと小さな声で、でも確かに呟いた。

「ありがとう、ございます・・・!」

その事葉に再度、静雄は笑みを溢すのだった。















特別なショーを君に

(そういえば何で俺の誕生日を?)(あぁ、トムさんに聞いた。)















ハピバ2作目です!
あと一つ・・・書けるかな。















100619



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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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