「みかどーっ!」
突然、むぎゅうと正臣が抱きついてきた。
「あわわ、どうしたのまさおみ。」
慌ててバランスを取りながら抱き返せば更に腕の力は力を増す。
少し苦しいが頬にあたる髪がふわふわと柔らかかったのでまあ良いかな、と帝人は自己完結した。
「んー?ちょっとね、みかどにだきついてみたかったのー」
「・・・そっか」
ポスポスと頭に手を置けばんーと喉を鳴らす正臣が何だか可愛くて頬が緩む。
「ふふふ、かわいい」
思わず漏れた言葉にバッと顔を上げると頬を膨らませて呟く。
「かわいいー?おれはかっこいいのほうがいいぞ」
「はいはい、じゃあまさおみはかっこいー。」
「へへへ、ありがと。」
満足したのか再度顔をうずめてグリグリ。
(やっぱり可愛いや、)
胸の内でこっそり思って愛しそうに笑った。
「なんてことあったよね。」
さっきから僕の腕の中でそっぽ向いている正臣に声をかける。そっぽむいててもカフスの着いた耳が真っ赤なんだから意味がないのに、なんて思った。勿論正臣には言わない。
「嘘だっ!」
背中を丸めたまま断固としてこちらを向かない正臣がおかしくてやはり頬を緩ませながらも髪を梳く。
「僕、嘘はつかないよ。」
「うううううあああああっ・・・・と、とにかく俺は覚えてない!覚えてないんだからな!」
くいっ、と肩を掴んでこちらへ向かせれば涙の滲んだ目が見えて思わず舌で掬う。ん、と甘い声を漏らした正臣の涙はしょっぱかった。
「覚えてないって・・・それにしても正臣はあの頃から可愛かったよね。」
万遍なく正臣の目の周りを舐めて、仕上げと瞳を舐める。ふあ、と漏れる声と共に正臣は言葉を紡ぐ。
「いや、あの頃はまだ子供だったっていうか・・・まあ今でも子供だけどそうじゃなくてその、まあ、俺にだってそういう時期はあると言うわけで・・・・そのさ、こう、人肌恋しい季節って奴がさ、ってかお前だってあの後ずっと抱きついてたじゃねえか!」
「あ、やっぱり覚えてた。」
「ーーー〜っ!違っ!」
自分の掘った墓穴に気が付いたらしい。もう知らない、と再び背を向けた正臣の首筋に舌を沿わせながら呟いた。
「ふふふ、やっぱり可愛い。」
「ひあ、っうるさいっ!」
遠くでもう寝るから、と言う声が聞こえ、柔らかい物が額に落ちてきたような気がしたがきっと気のせいだろうということにしておいた。
甘い甘いそれこそがピロートークというもので、
(たまには昔の話でも、)(そう、僕らがまだ親友だった頃のお話。)
久々に書きました!
本当、最近小ネタばっかりでしたね・・・
あれらもリメイクしてこちらに上げるかもしれません。
100617