シュガースポット

金曜日の夜。明日は休日で朝から練習だが、学校がある日よりはゆっくりできるので名前チャンを寮に呼んだ。こういう日くらいしか相手してやれなくて、たまに申し訳なくなる。いつも悪りィな、なんて謝ると「私は自転車にお熱な荒北君にお熱なの」とはにかんで言われた。あァ、俺は本当に出来の良い彼女を持ったもんだ。申し分ねェ。

一緒に夕飯を済ませて、風呂は別々に入って、バラエティ番組を小一時間見終えると名前チャンが先に俺のシングルベッドに潜り込む。そろそろ寝るか。これといっていつもと何ら変わりない事をしていても、名前チャンと一緒に居るだけで幸せに感じた。テレビの電源を切って名前チャンを壁に追いやるとおやすみ、とキスをせがまれた。可愛いなァ。お望み通りのおやすみとそれから甘いキスをくれてやった。ぎゅっと柔らかい身体を後ろから抱き締めると、名前チャンが俺に指を絡ませてきては指先にキスして、何やらモゾモゾと布団を揺らしていた。

「…名前チャァン?」
「ふ?」
「もしかして、したいのォ?」

エッチ。と耳元で囁くように言うと布団の中に顔を埋めてしまった。何これメチャクチャ可愛いんだけどォ…。ニヤける顔は見られてないはずだ。名前チャン、と呼ぶと少しだけ布団を捲って反応した。

「アー、その…明日も部活なんだヨ。」
「しっ知ってる!ごめんね、荒北君疲れてるしね。気にしないで!」
「…名前チャンが明日朝起こしてくれるんだったら良いけどォ?」

我ながら酷く偉そうな態度だと思う。しかし目の前の名前チャンは引っ掛かった獲物のように「本当に?」と小さな声で乗ってきた。あァたまんねェ。

「アラーム10コかけるね!絶対起きられるよ!」
「ッハ、そりゃ助かるわ。」

思わず笑って言うととても恥ずかしそうな顔をしていた。真っ暗だった部屋も目が慣れて名前チャンの顔がよく見える。ちゅ、と触れるだけのキスをすると礼儀正しく「イタダキマス」のご挨拶をした。


'140301 pike


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