触れたい彼女と揺れる俺

「しゅん…すけ、」
「…うるさい」

名前が必死にオレを呼ぶ声を遮って乱暴にキスをしてやるとカチリと歯が当たる音がした。一瞬の隙を見計らって見上げてくる名前は「どうしたの」とその目を潤ませて聞いてくるが、そんな事はお構いなしにまたキスを続けた。下唇を甘噛みしたり舌でなぞったり、貪るようなキス。次第に息が荒くなる名前に酷く欲情した。

「…ま、待って今日はだめ！」
「アレか」
「…うん。ごめんね」

そうやって上目で見上げると何でも許されると名前は分かってやってる。ハァと大きいため息を一つ吐けば、名前はとても困ったような顔して本当にごめん、と謝ってきた。いや、名前は何も悪くない。オレのほうこそ悪かったよと頭を撫でると嬉しそうに口を緩めた。きゅっと心臓の奥を掴まれる感触。…頼むからそんな顔をするなよ。

「可愛い」
「…へへ。俊輔大好き」

今度は名前から抱き付いてきて不意にキスをされた。そのくらいじゃ流石にオレの上体はよろつく事はなかったが、代わりに理性が揺らぐ。そんな事言うなよ、オレだって我慢してるんだ。もう一度その唇にキスをして次第に頬、手のひら、太ももへと移っていった。いやらしいリップ音を鳴らすと名前が目を瞑って顔を逸らしているのが見えた。

「あああ俊輔、だめ…だから！そんないやらしくしないで！」
「………分かってる」
「分かってないよね！絶対！」

オレもそっぽ向くと顔を真っ赤にして怒鳴られた。悪い、悪かった。ならいっそ離れておこう。そう思って距離を少しとると名前がじっと見てきた。

「……」
「どうした？」
「…離れすぎ」
「む、無茶言うな…」

名前はただ引っ付きたいだけなんだろうが、オレは違う。どうにかなりたいと思ってしまうから所謂生殺しだ。せっかくとった距離を少しずつ埋めてくる名前を何度もつき返す。

「勘弁してくれ…したくなるから」
「…俊輔のえっち」
「うっ。仕方ないだろ！」

こっちの身にもなってくれ…するとまたくっついて来て俯いたまま小さい声で呼んできた。

「し、てあげようか？」
「……」

その誘惑に正直とても揺らいだがいや、オレだけ良い思いするのは頂けない。と丁重に断わった。

「だって俊輔辛そう」
「ああ非常に辛い」

そう言うとくす、と笑われた。すると名前から珍しく官能的なキスをしてきたので、多分そういう事なんだろう。ここはやはり責任をとってもらうことにしよう。悪いな、名前。


140225
141208 加筆修正

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