二人だけの会話



「みどうくん!」

次の日、朝隣のクラスの横を通ると名前ちゃんが話しかけてきた。やけに期待の目で見てくるので何やろうと思ったがすぐにアレやと分かった。ちゃぁんと持ってきたで。制服のポケットをゴソゴソしてそれを渡すととても喜んでいた。

「やり方わからへんから名前ちゃんやってや」
「えー!分かるかなぁ」

恐る恐るボクのケータイを弄りだす名前ちゃんをこっそり上から眺める。ボクより明らかに慣れてる手つきを見ると、やはり今時の女の子やな、と思った。同い年やけど。上手く連絡先を交換出来たのかケータイが返ってきた。後でメールしてくれるらしい。ほな。それからいつも通り授業を受けるも、少しだけメールを待っている自分がおった。阿呆らし。

2限目が終わるとメールが来ていた。別にちゃうで、来てへんかどうか確認したわけちゃうし。開いてみると「名前です」の文字のあとに可愛らしい顔文字がついていた。意外とサッパリしとんやな。返事せんのもなんやから、なんて返そうか考えた。


「ふふ」

思わず声に出して笑うと、友達に変な目で見られてしまった。だってみどうくんから来た返信が「そんなん知っとるわ」だって。実に彼らしい。みどうくんがケータイ弄ってる姿って想像できないなぁ。緩む頬を両手で抑えていると友達が怪しんできた。

「ほんま、御堂筋のどこがええんやか」
「いいの。あたしが良いって思ったらそれで」

ふーん。それ以上深くは聞かれなかった。みどうくんの魅力って奥が深いから。周りの人には不気味な人って思われているらしい。昔からそうだった。でもいいの、あたしが良いって思ったら、それで。あ、次の授業の先生が来た。先生に見えないように机の下で、みどうくんから来たさっきのメールに手早く返信した。


名前ちゃんからもう返信がきた。打つの早すぎやろ。ちゃんと読んだんか?なに、「メールするの嫌い?」やて?…まぁわざわざケータイ通さんでもすぐ会って話したほうがええとは思うけど。多分、そういう事ちゃうんやろ。「別に」とだけ送るとまたすぐ返ってきた。どんな指しとんねん。


「良かった。じゃあたくさんメールするね」
「それはイヤや」
「えー。わかった」

最後に落ち込んだ顔文字がついとる。このやりとりの内容は誰にも聞かれてへんと思ったら、メールは割と嫌いではなかった。「ウソや」それだけ送ってケータイを机の引き出しにしまった。


140305



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