∴ヨーグルトを食べさせる



「はい、あーん」
「?」

いきなりヨーグルトをすくったスプーンをこちらに向けられて反射的に口に含む。ぱく。美味しい?と聞かれたからうん、とだけ答えると何故か気に食わない顔をしてもう一度口に持って来られた。

「な、美味しい?」
「…美味しいよ」

今度は笑顔を向けられた。なんなの。すると次の瞬間には勢いよくヨーグルトを口に突っ込んでくると入りきれなかったソレが口元を伝った。思わずむせて新開を睨む。

「ちょ、ちょっと新開!」
「…いいな」
「何がっ」
「いい眺めだ」

やけに楽しそうにしながらヨーグルトを私の口に入れてくるその手はまだ止まらない。口内いっぱいになったソレをゴクリと飲み込むと「飲んだのか?」と口元をいやらしく撫でられた。新開の、こういう仕草がいちいちエロいところが苦手だ。

「当たり前じゃん!口いっぱいに入れて苦しかったんだよ」
「もっと出してあげようか?」

クスクスと笑いながら二つ目のヨーグルトに手をかけた。…一体いくつ持ってんの。今度は顎を掴まれると半ば強引にヨーグルトを食べさせてきた。

「も、いらない、ってばぁ…」
「いいぞ、ソソるなその顔」

本当に冗談抜きで苦しくなって涙目になる。くそ、人を殺める気かこの野郎。ブフ、と少し吹き出すと口の周りにヨーグルトが飛び散った。ああ、はしたない。

「苗字…写メ撮っていいか?」
「はぁ?もういい加減にしてよ!」

お願いだ、と新開がしつこく食い下がるところに東堂が来た。ちょっと東堂君からも言ってくれない?そう言って顔を向けるとボン、と破裂音が聞こえてきそうなほど一気に顔を赤くした。

「な、な、早く口元を拭かんか苗字さん!はしたないぞ!」
「う…違うよ、新開にされたんだってば」

慌てて弁解すると横で新開に「早く口拭けよ苗字、はしたないぞ」と眩しい笑顔で言われた。うん、お前は一回死んでこい。


'140316 pike




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