「マジメな話」

「あァー」

最後のインターハイが終わった。残暑が続く中、涼みに近くのファミレスへと逃げ込んで汗ばむ身体を冷やす。荒北は店に入ってはずっと窓の外を眺めてアーアーと唸るばかり。

「さっきからうるさいんだけど。静かにしてよ」
「…あっという間だったなァ、三年間」

それでもちっともこちらを向かないコイツに苛立ちながら、ベルを鳴らして日替わりランチAを注文する。荒北はと聞くと「…パスタァ」となんとも愛想のない態度で店員に少し申し訳なくなった。

「あのさぁ、まだ高校生活は終わってないんだけど。荒北はどうすんの、進路」
「…ンなもん決めてねーヨ、なるようになるだろ」
「ちゃんと考えなよ人生一度きりだよ?もったいない」

すると荒北はまた「あァー…」と悩みこんでしまった。店員が運んできた日替わりランチAのご飯を口の中へかけこむ。

「苗字はどうすんだヨ」
「洋南大に行きたいなって」
「…名前チャン頭良かったっけェ?」

んーどうだろ。いつもクラスで1番か2番くらいかな。そう言うと荒北はマジでェ?!と目を見開いて身を乗り出してきた。…何、そんなに意外なわけ?

「だから、荒北も早く決めなよ進路。あ、すいませんスペシャルパフェ一つ」
「…まだ食うのかヨ」

すぐに手元に来たパフェを大きく一口食べると、腹が減っては戦は出来ないでしょと満面の笑みで答えた。


「…なんつーか、名前チャンが俺の彼女で良かったわ」
「なっ…いきなり何なの」
「ハッ、名前チャン顔真っ赤ァ」

'140705 pike


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