「だって高校生ですし」
ジリジリ。蝉がうるさく鳴いている。なんで夏休みなのに学校に来なきゃいけないわけ?そう文句を垂れると成績が悪いお前が悪いなんて教師に怒鳴られた。ちょっと中間テストの勉強をサボったらとんでもない点数をとってしまって、貴重な夏休みの五日間を学校で過ごすことになったわけだ。
「…で。なんで荒北も居んのよ」
「あァ?そりゃこっちのセリフだっての。俺ら夏休み入る前にインターハイの応援行ってたからァその分の補講があんだヨ」
あぁ、なるほどね。道理で見慣れた顔もあるわけだ。
「おや、苗字さんではないか。久しぶりだな」
「よう、苗字」
東堂に新開。こいつらも補講なのか。四人で一緒の授業受けるなんて新鮮でちょっと胸が踊った。「時に苗字さん、荒北とはどこまでいったのだ?こいつはなかなか教えてくれなくてな」…前言撤回だ。ニヤニヤと耳打ちしてくる東堂を睨んでやった。
「どこって…ああ、そういえばこの間花火大会行ったよ」
「花火、大会?」
「ばっ、お前、勝手に喋ってんじゃねーヨ!」
えーこのくらい良いでしょ。あとあと面倒なんだヨ。とくだらない言い合いが始まる。
「いや、俺が聞きたいのはそうい事ではなくてだな」
はぁ?じゃあ何が聞きたいの?すると東堂は頬を赤らめて黙り込んでしまった。え、何キモいんだけど。あたし何かまずいこと言った?
「だ…だからだな、その」
「セックスしたのか?と聞きたいんだろ尽八」
「!み、みなまで言うな隼人!」
「は、はぁ?バカじゃねーのォ?」
ひょうひょうと言ってのける新開とは裏腹にあたふたしている東堂と荒北。二人がなんでそんなリアクションをするのかは謎だったが思わずハン、と鼻で笑った。
「そんな事するわけないじゃん?だって高校生だよ?だいたいそういうのって大人がすることだしさぁ、あたし等がそーゆーいやらしい事するとか有り得ないでしょ」
ナイナイ。笑顔でそう言うと「そうか…」と三人とも落ち込んでしまった。え、ちょっと待ってなんで荒北まで落ち込んでんの?
「まぁアレだ、ドンマイだな荒北」
「靖友、がんばれよ」
「るっせー!黙れヨ!」
「で、なんで荒北まで落ち込んでんの?」
「お前も黙れ!」
'140314 pike
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