「甘い展開?」

保健室にはあたし達だけだった。ひたすらに沈黙。もう少し居てって言ってしまったけど、どうしようこの状況。二人きりだし、保健室だし、いやに意識してしまう。

「や、やっぱ先教室戻ってなよ!」
「お前が引き止めたんだろォ。居てやるよ少しくらい」

あ、荒北が優しい。ちょっと気持ち悪い(失礼だけど)。袋に入った氷が融けてきたのでかえようと立ち上がると奪われた。どうやら動かずに済むようだ。病人じゃないんだから自分で出来るんだけどなんとなく嬉しくて甘えてしまった。どうしよう、顔がにやける。どこ打ったんだヨ、としゃがんで覗き込んでこられて不覚にも少し胸がときめいた。

「痛そー。このおてんば娘がァ」
「いっ…もうちょっと優しくしてくんなぁい?」
「真似すんじゃねーヨ、ブス!」

青く内出血した膝を見せると氷水をぽちゃぽちゃあてられた。痛いんすけど。すると荒北はあたしに背を向けてしゃがみながら「なんかねェの?」とゴソゴソ辺りを漁りだした。とっさに仕返ししようと後ろから氷水を持って近付く。首元に当ててやろう。そう思ったんだが急に立ち上がったせいでよろついてしまってそのまま荒北の背中へダイブした。

「っ…てぇ!あんだよ!」
「ごめ、ああああ」

カエルのようにへしゃげた荒北の腰に馬乗りになる。夏服のせいでゴツゴツとした感触がダイレクトに伝わってきて動揺した。ドクドク。そこに不運にもドアが開いて保健の先生が入ってきては「あら、お邪魔?」なんて笑顔で言われてしまった。違うの先生これはね、

「先生ーこの痴女退けてくんナァイ?なんか襲ってきたんだけど」
「はぁぁぁ?!やっ何言ってんの違うし!退くし」

慌てて退くと荒北にも先生にもニヤニヤされた。ああもう!なに二人して!最悪!


'140310 pike



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