照れない後輩


「名前、俺お前のこと好きだ」
「あ、はい。今日も元気そうで何よりです、黒尾先輩」
名前にここ最近、ずっと告白している。そして今日も昼休みに呼び出して告白している。それでも名前は照れること無く見事にスルーしやがる。
「なあ、どうしてそんな拒否るんだよ」
「別に断っては無いですよ。まあOKも言って無いですけど」
「なんでだよ。名前は俺のこと嫌いなのか?」
どうせ嫌いとか言われそうだなと思っていたら、名前は意外にも「いいえ、嫌いじゃないですよ」と平然とした顔で答える。
「むしろ、黒尾先輩のこと好きですよ。恋愛的な意味ですよもちろん」
「え。まじ?」
「私、冗談とか言わないんですけど」
これって告白だよな。それにしても名前は少しも照れない。男前すぎるだろ。俺のほうがむしろ照れている。顔が赤くなっているはずだ。
「黒尾先輩、顔赤いですよ。すごくわかりやすいですね」
「だって好きな子から好きって言われたらそりゃあさ」
あれ、じゃあなんで名前は俺と付き合ってくれないのだろうか。好きだったら付き合ってもいいじゃないか。
「名前って俺のこと好きなんだよな」
「そうですよ」
「じゃあなんで付き合ってくれねえの?ツンデレ?」
俺が聞くと名前は黙ってしまった。まさか怒らせちゃったのか。
「えっと名前?怒った?」
「黒尾先輩、もてるから私と付き合ったとしても他の人のところ行っちゃいそうで付き合いたくないです……」
「そんな理由で?俺、軽そう?」
「はい、軽そうです」
そんなふうに思われてたのか。というか名前が思ってることってある意味嫉妬みたいな感じだよな。うん、可愛い。
「じゃあどうしたら付き合ってくれるんだよ」
「……結婚?」
疑問系なのが気になるが予想外に重くて笑いそうになる。いやいや、名前にとったら真剣なんだろう。名前と結婚できたら幸せだな。
「じゃあ結婚する?」
「いや、そんな付き合わないでいきなり結婚するっておかしくないですか」
「じゃあ結婚を前提にお付き合いしてください。名前と結婚できたら幸せにする」
「は?」
好きとか言っても照れなかった名前の頬が少しだけ赤くなる。
「あれ、照れてる?」
「照れて無いです」
口では照れて無さそうなのに顔だけが赤い。可愛い。
「で、返事は?」
「本当に私と結婚できるんですか?」
「当たり前だろ。名前のウエディングドレスとか見たい」
「ちゃんと幸せにしてくれるなら、良いですよ……黒尾先輩のこと好きですし」
こっちを上目遣いでこっちを見てくる名前はそりゃあもう可愛くて、絶対嫁にしてやる。さっきウエディングドレス見たいとか言ったけど白とかピンクとか似合いそうだな。今から楽しみすぎる。
「何、ニヤニヤしてるんですか。気持ちが悪いです」
「いやー名前可愛いなって思って」
「やっぱり付き合うの止めますか?あ、もうお話すみましたよね。私、自分のクラス帰るんで」
「え、待てよ!帰るな!」
名前は俺が引き留めてるのを無視してそのまま走ってクラスに戻っていってしまった。
名前の後ろから見えた耳まで真っ赤になっていることは可愛いけど言わないでおこう。
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