先生、好き


研磨と先生のお話です。生徒×先生苦手な方はご遠慮ください
 
「孤爪君、起きて」
ホームルームが終わり、皆教室から出て行った。その中で一人、孤爪君だけが残っていた。いつもならバレー部に行っているのに机に頬をつけて寝ていた。可愛いな、と思いながら起こす。このままずっと寝てても困るし気分悪いとかなら保健室に連れて行かないといけない。
「ん……や、です」
猫みたいで本当に可愛い。けどそんなこと思ってる場合じゃない。この後会議があるのだ。早く起こさないと。きっとバレー部の皆だって孤爪君を待っている。
「バレー部行かなくて良いの?」
「少し、寝てから。眠いし……それに先生がこうやって隣にいてくれるなら行かなくても良いかも」
「え?」
今、けっこうな問題発言をしたと思う。これ以上、孤爪君と一緒にいるのもしかするとまずいのではないかと思い始める。しかし寝てる孤爪君をほっとくわけにはいかない。
「ほら冗談言わない。起きなさい」
「ねむ……撫でてくれたら起きる」
「うー、本当?」
「うん」
「絶対だよ?」
私はしょうがなく、撫でることにした。一応、教室の外に人がいないかを確認して孤爪君の頭に手を伸ばす。こんな金髪に染めちゃって、いたんでそう。そっと髪の毛に触れて、撫でる。思ったよりも髪の毛は柔らかくてサラサラしていた。あんまりいたんでない。
「これで良い?」
「もう一回……」
「駄目よ。早く起きなさい」
「お願い」
甘えたように言う孤爪君は可愛かった。断れるわけ無いじゃない。
「もう……最後だからね!」
私はそう言って、髪の毛をまた撫でる。柔らかくて気持ちが良い。
「はい、終わり。起きて」
「うん、ありがと」
孤爪君はあくびをしながら目を細めて起き上がる。本当、猫みたい。
「じゃあ私は会議行くからね。ちゃんと部活出なさいよ」
私はそれだけ言うと廊下へと向かう。するとすぐに孤爪君の声がした。
「あ、待って」
「ん、何?」
まだ座ったままの孤爪君のほうを向くと腕を引っ張られる。
「ちょっ……」
孤爪君の猫みたいな目が私と近付いたと思えばすぐ孤爪君の顔は目の前にあった。これってキスされるんじゃ……。そう思った時には遅くってすでに唇に柔らかいものが触れていた。すぐに孤爪君は私を離して笑った。
「何、するの……」
「起こしてくれてありがと、お礼」
可愛く笑うものだから怒るものも怒れなかった。これが同じバレー部の山本君とかならいつもの生活態度と一緒に怒れたのに。
「先生、好き」
孤爪君は小さく呟いて私の腕を離した。
「返事はしなくて良い。じゃ、俺、部活行くから」
孤爪君はすぐ立ち上がって、準備をして一分もしないうちに教室から出て行った。
「……っ孤爪君、本当は眠くないでしょ。絶対、怒ってやるんだから」
私はそう呟いたものの頬は熱さを増すばかりだった。
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