「山口君、ちょっと聞きたいことあるんだけど良いですか?」
廊下を歩いていると頬を桃色に染めながら可愛らしく話しかけてくる子がいた。日向と話しているのを見たことがある。可愛い子が話しかけてくれるのは嬉しいけどツッキーのことなんだよな、と少し悲しくなる。そんなこと思いながら「どうしたの?」と聞く。するとその子は少し俯いて話し始める。
「えっと初対面なのにって思われると思うんですけど、好きな人いますか?」
「ツッキーのことだよね?今はいないよ」
俺がそう答えるとその子は首をふって「違うんです」と言った。
「山口君のこと、なんですけど」
その言葉を聞いて反応に遅れる。まさかこんな可愛い子が俺のことを聞くなんて。
「え、俺?」
「そ、そうです。知りたいんです」
お願いします、と頭をさげる女の子。別に断る理由なんて無いしむしろ嬉しい。だって可愛い子が自分に興味を持ってくれるなんて思わなかった。
「いないよ」
俺がそう言うと少し安心した表情を見せて笑う。可愛い。笑窪ができている。
「ありがとうございます!じゃあまた、今度……!」
そう言ってその子は頬を桃色に染めたまま俺の前から去っていく。俺はその後姿を見て頬が緩んでしまう。
「あ、名前……」
聞けなかったなんて思いながら、知らなくてもきっとすぐ話せるはずだと確信する。だってあんな可愛い笑顔忘れるわけないじゃないか。

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