1話「 私の一日 」
―死にたい。
窓の向こうの憎らしいくらいに快晴な空を睨み付けながら、
私は心の中で呟く。
そして口にする。
「死にたいなぁ」
シャーペンをカチカチ押して、机にぶつければ、
ポキポキ
と、骨が折れるような音がして、無数の残骸がイラストの描かれた原稿用紙に散っていく。
それを、何度も何度も繰り返す。
何度も何度も何度も何度も。
芯が引っ込んだ。
折れなくなった。
「死にたいよ」
私は髪を掻きむしった。
涙がぽろぽろ溢れた。
頭皮がヒリヒリ痛む。
机の上に散らかったコピックマーカー。
黒い黒い赤。
黄色や桃色より、
私はきっとこの色がすき。
左手首の血管をなぞった。
何度も何度も。
…この管一本に私は生かされているんだなあ…。
そう考えると可笑しくなって、フッと鼻で笑った。
笑いが止まらなくなる。
可笑しくてたまらない。
私自身が。
ベッドに突っ伏す。
そうして私の一日は終わる。
明るい明るい夜。
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