天仰ぐ少女と北極星
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「う…ん……」

ぴよぴよと可愛らしい小鳥たちの囀りに目を覚ましてみれば、窓からは眩しい陽の光が差し込んでいるのが見えた。
とても気持ちの良い朝だが、目覚めは最悪。

「また……あの夢」

毎日ではないがよく見るあの夢。自分は毎回あの真っ白な部屋にいて、最後は決まって頭痛がして目が覚めるのだ。
何よりその頭痛が吐き気を催すほどつらいため、できればあの夢は見たくなかった。

「今日は大事な日なのに……ついてないわ」

そう呟きながら少女はベッドから上半身だけを起こし、乱れた髪の毛を軽く梳く。
さらさらとした彼女の薄水色の髪は細い指の間を簡単にすり抜け、元あった場所に流れた。


少女――メーアは今、5大国の中央に位置するギルド『北極星-Polaris-』の一室にいた。
北極星は数多くあるギルドの中でも特に名の知れたギルドで、誰もが一度は憧れる人気な職業である。
それゆえ就職希望の競争率の高さも半端ではない。
最後の就職試験で課される指示を難なくこなし、冷静に且つ的確に行動できる優れた者だけが北極星の戦闘員を名乗ることができるのだ。

そしてこの少女は、その最終試験をほんの数日前に見事突破していた。
他ならぬ今日がギルド入隊の日で、憧れのギルドメンバーとの顔合わせの日となっている。
その大事な日にあの変な夢を見るとは不吉だった。

「……まぁ気を取り直して。大丈夫よ、大丈夫」

自分に言い聞かせるように呟き、深呼吸。所詮は夢だものね、と1人で頷き心を落ち着かせる。
それからメーアは早々とベッドから抜け出し、昨晩まとめた荷物の最後の点検に取りかかった。



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