2011.11.03 (Thu) 11:06
白亜ちゃん
緑の広がる草原。そこに腰を下ろして空を見上げる、1人の少女がいた。
なにかもやもやすることがある時は、よくここに足を運ぶ。心が落ち着くその場所が、白亜は好きだった。
そこに、
「やあ、白亜。昨日も決闘宮へ行ったんだって?」
「……ああ」
振り返らずともわかる。
もう何年もの付き合いだから。
幼なじみであるハインだ。
「3回戦敗退、か。猛者揃いの決闘宮でよくそこまで勝ち上がった……と言いたいけれど、白亜ならもうちょっといけたんじゃないかな」
「……っ、」
白亜は言い返そうとして振り返る。
だがしかし、それはハインの次の句によって阻まれてしまった。
「……何か、あったんでしょう?」
それは、"質問"ではなく"確認"。
彼の声は間違いなくそうであるという確信に満ちていた。
――だから嫌なんだ。
ハインは普段は穏やかなくせに、こういう時はとても鋭い。
幼なじみであるハインには、自分の何もかもが見透かされているような気がして。
確かに、昨日の自分は本調子がでなかった。しかし素直に認めることはしたくない。
白亜は、静かに首を横に振った。
「別に…何にもないさ。それに、私はハインが思っているほど強くない……勝手に買い被ってもらっても困るよ」
草原に下ろしていた腰を上げ、白亜は息を吐き出す。
――と、同時にバックステップ。
刹那、今まで少女が立っていた場所に突き刺さる重鎗。
「ちょっ、どういうつもり!?」
きっ、と目の前に立つ青年を睨みつけながら白亜は声を上げる。
それに対して相手はあくまで穏やかに。
「普通の人なら掠るくらいはしていたはずだよ。けれど、白亜はちゃんとそれに反応した。それだけの能力が、君にはある」
言うと、目を細め優しい微笑を浮かべるハイン。
「何よそれ……無茶苦茶…」
――だけど。
彼なりに、励ましてくれてるのかな。
「……ありがとう」
「ふふ、」
礼を述べるとハインは頷いて。
「さあ、今日もひと汗流そうか」
地面に刺さった重鎗を引き抜き、いつもと同じようにハインは身構えた。
それを迎え撃つ形で白亜も身構える。
――そして。短い呼気と共に、少女と青年は交叉した。
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ハインの幼なじみ兼ライバルになってくれた、真惟ちゃん宅の白亜ちゃんをお借りしました////
2人はお互いのことをよく知っていて、言わずともわかるような関係だったらいいなと思いながら書かせていただきました…!
口調等イメージと違っていましたらすみません、言ってくだされば直しますのでお気軽に!
楽しかったです!
ありがとうございました♪
これからもわが家のハインをよろしくお願いしますー!(*´▽`*)
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