/創作
 00 そんな誰かの笑い話、終わらない世へ向けて



 誰もが夢を視る。それは身震いする程に恐ろしいものであり、ずっと浸っていたいくらいに懐かしい。そんな夢を君等人間は視て、そして忘れてしまう。
忘れてはいけない約束であった、忘れたくなかった約束であった、忘れて良かった過去であった、…そんな事を思い出して夢に視てはまた、忘れるのだ。
 そんな事を繰り返しながら君等人間は生きている。"絶対に忘れはしない"と自分に誓っても、忘れてしまうのだ。忘れて、また、思い出して、忘れて。

 魂が刻んでいるその記憶は、時折現世で生きている人間たちに影響を与える事もある。その影響は良いことであったり悪いことであったりと様々だ。
 大体が悪いことだと言って良いだろう。

 君等は思い出さなくて良いのだ、過去の事など気にせず今を楽しく生きていれば良いのだ。
今は楽しいだろう? 大切な家族と、大切な友人と、恋人と…………いや、軽い考えではあった。楽しいと思えない、この世の底まで落とされ死にたいと思っている人も居るだろう。
まあしかし、大体の人間が、日本人が"幸せ"と言える環境にあると思っておこう。

 それでも時々、思い出してしまう人が居る。喉を掻き切られた瞬間を、空気が吸えず肺に水が入ってくるあの感覚を、血が流れ段々冷たくなって感覚が消えていくあの恐怖を。
「約束だよ」と笑って小指を結んだあの緩やかに流れていた時間を。


 これは持論ではあるが、よくパラレルワールドと言うものを聞く。パラレルワールドは自分等が居た世界とはまた違う世界、もしもの世界。過去未来というのもまた1つのパラレルワールドではないか、と私は考える。
まあこれは私の勝手な考えであって、世の人々はそれは違うだろうと笑い飛ばすに違いない。あくまで、私がふと思った事である。






 …なんて、ちょっとした論文みたいにかっこよく語っちゃたりして?
 とりあえず俺が君等に教えてあげたい言葉は「知らぬが仏」、君等は貪欲な生き物だ。貪欲で、好奇心旺盛で。もし自分の前世が見れる!だなんて世が訪れたら誰もが自分の前世を覗きに行くだろう。好奇心旺盛なのは良い事だ、そうやって今後ともこの世界を発展させて行くと良い。



 そしてなぜ自分たちが"忘却"という能力を得たのかよく考えて、生きると良い。



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