異変は
その前夜から始まった。

学校帰りに、何の因果か前に二、三度ヤッたことのあるおねーさんに偶然駅であった。

オレとしちゃー家で待ってる幸村とのめくるめく夜のお楽しみのためにもさっさと帰りたっかったんだけど、3年ぶりくらいの再会で妙に懐かしまれちゃって、流れ的に一緒にごはんを食べることになった。

もちろん働くおねーさんにごちそうになります。


めんどくさい。

早く帰りたい。


静かな店内でぐびぐび酒を煽る彼女に、出会ったときから何故かヘタに逆らえないオレは、大人しく彼女が飽きるまで、にこってしながら座ってるしかないのだ。



我慢を重ね、時間も酒の具合もいいころに、やっとの思いでお店をでたのが9時過ぎ。


何時間いたんだろう…。

解放の喜びにちょっと涙目になる。



二人で夜道を歩き二、三度訪れたおねーさんの部屋の下に着いたとき、さっさと歩き出そうとするオレに


「上がっていかないの?」


ちょっと驚き顔で言われて。まぁこの場合、

「ヤッてかないの?」

の方が正しい。



「いやいや帰りますよ」


3年前のオレじゃ想像できない返事をすると、


「あら、売りやめたの?」


とか、言われる。





売ってねぇーよ。




あぁでも、


「じゃ、ごちそうさまでした」


そう思われてても仕方ないか。あれじゃーね。

実際お金なんてもらったことないけど。
よろしくない生活を送ってたよ、まったく。


強引に上がってけって言われたら、オレは、また、断れなかったのかなぁ……




んやっ!!!

いやいやいや!!!

今のオレには愛すべき、かわいいかわいい弟がいるんだ!!
どこぞの女に不埒を働いてる場合じゃないでしょ!!さっさっと帰ろ!!



あぁ〜遅くなっちゃたからなぁ。

幸村もうお風呂入っちゃったかなぁ?今日こそ一緒に入りたい!!


あぁ…お風呂、風呂。

幸村のすみずみまで見えちゃう、風呂。


……やばい、もう鼻血でる!!


 

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