「幸村は?」


「いねぇーよ」








ぱたん……

あぁ〜もぅうっさいんだけど!!なんで当然のごとく毎朝幸村を迎えに来るわけ!?

「てめぇ、開けろよ!!」

ドンドン人ん家のドアを叩くんじゃねーよ、ウザ宗!!


「うるさいんですけど?そろそろ警察呼び…「政宗殿―!!!」

「よぅ、幸村!!」


あぁーバカバカ幸村!!
何、うっかり出てきちゃってるの!?


「ダメでしょ幸村!!
こんなのに近づいたら妊娠させられちゃうよー!?」


とにかく離れなさーい!!って幸村と政宗の間に割って入ったら、後ろから結構な勢いで側頭部を叩かれた。

まぁ、下手人は当然父さんで。

頭を押さえるオレを捨てて、迎えに来た政宗のところまで幸村を送り出す。


佐助、大丈夫か?と天使がオレを心配する声が聞こえたのだが、父さんが遮って早く行けと二人を見送ってしまった。

しかも追いかけられないようにオレを家に閉じ込めて、玄関のドアが開かないように押さえつけてたっぽい。


あぁーオレの幸村が!!
あいつ絶対幸村のことイヤらしい目つきで嘗め回すように見てるに違いないのに!!学校に行くフリしてどっかの物陰に連れ込んで……


「いやぁぁあああ〜変態よぉーー!!!!」

「変態はお前だろ。
さっさと学校行け」


だって見たでしょ!?さっき、心配してオレのほうを振り返る幸村の背中であいつがとんでもなく悪い顔でニヤってしたの!!

幸村が新しい学校に通い始めて早3日。毎朝繰り広げられるこの光景。

学校なんて行かなくてもオレが家で勉強教えてあげるって言ったのに、父さんが聞き入れてくれなかった。

悪意としか思えない学校側の小細工により、幸村が仲良くなったとにこにこ顔で連れてきたまさかの同じクラス、伊達政宗。隣に住むオレの大っ嫌いな野郎だ。


幸村に対して同じ思いを抱いている者同士、すぐに互いを敵認識した。

あいつはオレのあんなことやこんなことを知ってるからめんどくさい。
幸村に変なこと吹き込まなきゃいーんだけど。


そんな毎度の朝の光景にある日、とてつもなく大きな変化が起きた。

 

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