「初めまして佐助です。よろしくね」

視線を合わせてそういえば、子供は顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。
くはッ……!!やっばい、鼻血でる。こんなにかわいい生き物がこの世に存在してたなんて。まだまだ地球は神秘に満ち溢れているな。

あぁーかわいい、あぁーかわいい。
ぐふふ…触っていいかなぁ。ふくふくのほっぺとーほぁっほぁの髪、どっちにしようかなぁーー??


「汚ない手で触んなよ」


顔面がゆるっゆるに崩れたオレに、さすがは父親、新たな自分の子供の春に危機を感じたようだ。
父さんに一瞥をくらわせようとしたのに、既にこっち見てないし。新聞ひろげちゃってるし。


あれ…オレってなんか見透かされてる?
まぁ確かに!?邪まな思いがなかったとは言い切れませんけど!!
ドアの前での一幕の間に母さん…で、もういいよね…は珈琲を淹れはじめてる。
ここにいると邪魔(父さん)が入って幸村にお触りができない。


「珈琲飲める?」


まだ緊張の残る瞳に問えば、首を緩く横に振る。


「お兄ちゃんと一緒にジュース買いに行こうか」


自分でも名案!!と思った提案に、子供は大きく頷いた。
近くのコンビニまで3分。家を出ようとした背中に『佐助、10分で戻れ、10分』と釘を刺されたがそんなのは無視だ無視。
オレのメルヘンを邪魔すんな。


ふたりで並んで歩きながらはいっと手を差し出すと幸村は戸惑いがちにオレを見上げながら足を止めた。手、繋ごうと思ったんだけど……

うぅーとか、んーとか呻ってわたわたしてる。


「中学生なのに、…手繋いだら……笑われる…」



……あ、13歳なんだっけ。ちょ、え、見えねっ。いろいろ小ぶりすぎない?


「違うよ幸村。兄弟はね、お外を歩くときは手を繋いで歩かなきゃいけないんだよ」

「そ、うなのか……?」

「そうだよ、だからはい」


差し出した手を、温かい手が疑いなくきゅっと握り締めた。

ありがとう神様!!
これ、使える!!

それからいろいろ遠回りしてゆっくり歩いたら、結局家に帰ったのが一時間後で、無言の父親によってオレだけが家に入れてもらえなかったのは、まぁ想像の範囲内だ。


 

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