【朝日】

ぼんやりと光が見える地平線をただ呆然と見る。ゆらゆらと波打つ海はまだ暗い。3年前にあいつとここに朝日を見に行った時、眠そうな目を輝かせて「綺麗だね」と笑っていた顔を思い出す。ーーーああ朝日が昇ってきた。激しい光が俺の目を劈く。『地平線の向こうに君はいるだろうか』



【雨】

雨は憂鬱だとみんな言う。髪の毛はゴワゴワになるし、心がなんだか重くなる。雨男や雨女は毛嫌いされる。でも、私は雨が好きだ。特に帰り道が。だって、「お疲れ」愛しい人が傘を一本だけ持って私を待っててくれてるから。



【月】

「日本人は回りくどい言葉が好きだよね。月が綺麗だね、とか。僕は理解できないな」私の隣で満月を見ながらそう言う偏屈な彼。それでも月明かりが照らしている彼の姿はとても美しい。「真っ直ぐに言えばいいのにね」何を?ーーなんて野暮な質問の前に私は唇を塞がれる。



【おかえり】

今日も上司に理不尽な怒られ方をされた。俺はバキバキと肩を鳴らしながら、家の廊下を歩く。リビングのドアを開けば、ソファで寝ている妻。無意識にそこへ向かって、その顔を見つめれば「おかえり、」薄く目を開いた妻がふにゃりとそう言ってくれるから、俺は明日も頑張れる。



【失恋】

失った物は元に戻らない。と、人は言う。私を慰めるあの大きな手も、私を幸せにするあの笑顔も、私の大好きな目をこする癖も、全て全て私の手からは離れていった。けれど、私のこの想いが心から失われる事は無いのですね。



【ウサギ系男子】

「せーんぱいっ」私にすり寄ってくるその声。私の肩に絡められる白く、細い腕。「もっと、俺にかまってくださいよ」するり、彼の冷たい頬が私の頬と触れ合って、大きな瞳が私を捉える。「俺、かまってくれないと死んじゃう」そんなウサギはたまらなくあざとい。



・「助けて下さい、」涙を流している。こちらへ伸ばしてくる震える手を、俺は無意識に手に取る。「助けて、もっと、一緒にいたいの、」声も、震えている。握力のない手が、必死に俺の手を握ろうとしている。命を乞うほど、醜いことはない。未来のない相手の命を乞うほど、浅はかなことはない。


【ねー朝比奈、甘えたがりのキャバ嬢と互いに毛嫌いし合っている人物が事件に巻き込まれるミステリー書いてー。】

「ねー、アタシのこと気に入ってくれてる社長さんが来ないんだけどー!どうしてー?」「知らねーよ。さっさと酒入れろ。ブス」「いやだよー!アタシのこと好きな人じゃないといれなーい!」「てめえ!それが商売だろ?」「アタシ知ってるんだからねえ?あなたが社長を殺したって」「…へえ、」



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bkm


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テーマ「人外ファンタジー」
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