・事の発端

ねー朝比奈ヨウ、三輪車愛好家の不良と未完成で欠陥疑惑のあるアンドロイドとの電話越しの物語書いてー。


「おい、知ってるか?三輪車って小さいだろ…?その小さい乗り物にでかい奴が乗ってるのが、最高にいいんだよ…」「すみません。私の電話機能が調子悪くて聞き取れません」「ざけんなっ!俺が三輪車について熱く語ってるのに何なんだその態度は!」「ピー、ピー、アップデート中ーー…」



・真面目に書いた

「見ろよ。これはあのジョニデが幼少期に乗っていたプレミア三輪車だ」「そうなんですか」私が仕えているご主人はタイヤが三個ついた小さな乗り物が好きだ。「このビンテージっぽいのがいいよな」そんな乗り物に楽しそうに乗るご主人は周りから見たら『滑稽』らしい。

「…そうか、お前はアンドロイドだから感情が無いよな」

だからこの良さが分からないか、なんて言いながら私の周りをぐるぐると三輪車で駆け回るご主人。そう、機械は感情を持たないものだ。

「お前も乗ってみろよ」「え…」「いいから乗れって」「かしこまりました」

小さな椅子に腰掛けて、ペダルをぐいっと押す。すると三輪車はゆらゆらと進んだ。

「お、うまいじゃねえか」

ーーーーー、機械は感情を持たない。だけど、

嬉しそうに笑っているあなたを見てありもしない心が暖かくなる私は、『欠陥商品』だ。



・真面目に書いた2

「何でお前がここに連れて来られたか、分かるか?」
ご主人様は今日もまた、三輪車を丁寧に拭いている。彼はこちらなどは見もせずに、ぶっきらぼうにそう聞いた。


「分かりません」「考えるぐらいしろ」「そのようなデータは存在しておりません」「…馬鹿だなあ」

ため息をつくように、呆れたようにそう呟やいてご主人様はこちらを見た。

「お前に欠陥があるから引き取ってやったんだよ」「そうですか」「俺の親父がいらないって言うから」「…何故私を引き取ったのですか」「チッ、だから」「ご主人様のお父様が私をいらないと言ったのに、何故、」

やはり私は欠陥商品だった。今だって、予期出来ない言葉がポロポロと出てきてしまっている。ご主人様は困ったように笑って、そっと立ち上がった。そして、こちらへ近づいて来る。

「わかんねえよ、それは。何と無くだよ」「そうですか」「ま、三輪車乗れるんだから、お前は対したもんだ」

彼はそう言いながら私の頭を撫でて、去って行った。私もその後を追う。

ーーーーー何故、私はアンドロイドなのだろう。

「(少しでもあなたに近づきたい)」





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bkm


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