んん?



私よりきっと可愛い顔。ぱっちり二重とかじゃなくて。たれ目で常に笑っているような目に口角が上がった口、白い肌。


優しい顔なのだ。だけど本当はそこまで優しくない、



「眠いな、」

「寝ればいいじゃん」



ほらね、素っ気ない。


私はカフェの机に突っ伏して勉強をしている彼を見上げる。眼鏡。勉強してる時は、黒縁の眼鏡を掛ける。


それは白い肌と対照的でよく似合っている。かく言う私はコンタクトだけど。



「津田くんって視力どんぐらい?」

「さあ、そこまで悪くはないと思うけど」

「ふうん」



私は起き上がって彼の眼鏡を取る。完全な勉強妨害、だけど気にしない。


その眼鏡をかけてみるが、ほぼ度が入っていないらしく全く視界は揺らがなかった。



「全然度入ってないじゃん」

「俺からしたら入ってる」

「いいなあ、目が良くて」

「…ていうか、いるよね。他人の眼鏡を掛けて周りの反応を期待する女子」



真っ直ぐに投げつけられる言葉。それはグサリと私の心臓を突き抜けた。


中高とそうだったからだ。大学の今でも。私は無言で眼鏡を取り、津田くんに返した。


図星過ぎてショックどころか泣ける…。そのまま勉強に戻ろうとすると、



「いいじゃん。美希は似合っているから」

「…っありがと、」



珍しい言葉に瞬時に顔を上げると、顔を隠すように机に肘をついてそっぽを向いている彼。



「何照れてるんですか」

「うるさい」

「そんなに似合ってましたか」

「うるさい」



可愛い、な。


そう思って彼の黒髪をわさわさと触るとその手を掴まれる。



「似合ってたよ」



可愛い彼の手はゴツゴツしていて、大きい。私の腕なんて簡単に収まってしまう。



「…はい、」



いつまでも初々しい限りだ。




 




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