名前





「……」
「アンタ今日も一人でやんすね」
「餅田くん。どうしたの」
「どうしたの、ってアンタが一緒に飯を食べる相手もいなそうなので同情して声をかけてやったんでやんすよ!」
「わたし?」
「アンタ以外にだれが居るでやんすか!…まあ、二人が用事があるって言ってオイラも一人なんで、暇を持て余していたっていうのもあるでやんす」
「ふうん。…」
「なんでやんすか」
「なんて断ろうかと思って」
「・・・・・・」
「あ。嫌ってわけじゃないよ。私お昼食べないから、申し訳ないなって」
「アンタはいちいち言葉が足りないでやんす!顔が無愛想でただでさえ表情が読みづらいのに…ん?今なんて言ったでやんすか?」
「私お昼食べないから一緒に居るのが申し訳ないなって思ったって言ったよ」
「なんででやんすか?」
「食べてない人の前で食べても、楽しくないでしょ。」
「そっちじゃなくて、どうして飯を食べないでやんすか?お腹が減っちゃ練習にも身は入らないでやんす」
「どうして、って、ええと。昔からずっとこうだったからかな」
「昔から、でやんすか?」
「うん、昔から。朝ご飯と練習前の栄養バー一本だよ」
「ちなみにいつから…」
「中学二年生の頃から。基礎代謝が悪いから…あと、重くなるから」
「………」
「脂肪は勿論、胃の中身そのものの重さもあんまり欲しくないし。…どうしたの?」
「オイラはそんな生活、絶対できないでやんす…」
「餅田くん、男の子だしね。こっちの競技も男の子はいっぱい食べてるよ。それに、慣れれば大したことないんだよ」
「オイラ一生慣れられなさそうでやんす…」

***

「よ、昼休みは悪かったな」
「もういいでやんす。そっちの用事はちゃんと済んだでやんすか」
「うん。そっちはどうしたんだ」
「みょうじと話してたでやんす」
「へえ、随分と仲良くなったじゃないか」
「…何を勘違いしているか知らないでやんすけど、そりゃああまりにもモテない男の発想ってやつで…こら!聞いてるでやんすか!」
「いてっ!おい、何すんだよいきなり!」
「人にあらぬ嫌疑を立てるから天誅が下ったんでやんすよ!大体オイラはもっと優しくて会話の楽しい子がタイプなんでやんす、あいつは顔はそこそこだけど無愛想なのがいけないでやんす」
「へえ…ふうん…」
「…天誅でやんす!」
「いってえ!」
「もう、何やってんの二人とも」
「ユウキ。いや、モッチーが最近女子と仲良くしてるって言ってさ」
「ああ、みょうじさんのこと?最近よく話してるよね。え、もしかして好きなの?みょうじさんのこと」
「だ〜か〜らあ〜!そもそもタイプじゃないって言ってるでやんす!」
「でも顔は嫌いじゃないんだろ?」
「顔は悪くなくてもあの態度が嫌いでやんす!不愛想で失礼でやんす」
「そうかな?部活に一生懸命って感じで、俺は好感持てるけど」
「同じく。…ま、モッチーがどう思っているかは別にしても、みょうじさんがモッチーのことどう思ってるかは推して知るべし…って感じかな?」
「二人とも酷いでやんす!」
「わはははははは!」



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