白い部屋でか細くうごく君の右腕には、からみつくように管が刺されていた。僕がそればかり見ていると、君は困ったように笑って、「ごめんね」とつぶやいた。なぜだろう、僕はそのとき、今まで見た中で一番、君をうつくしいと思ってしまった。病魔が黒く渦巻く君の 白い肌を、そっと撫でる。君の言った「ごめんね」は誰へのものだったんだろう。 乳白色の墓標の前で、僕はあの白い部屋を思い出す。 残像/追憶