雨が降らなければ(了見)

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第四弾 了見と遊作男夢主(R-18)

コンニチハー!」
海の見える家に、拓真の声が響いた。
「…インターフォンを鳴らせば良いだろう。」
私の苦言に、拓真はヘラヘラと笑う。
拓真は強制的にLINK VRAINSへのログイン権を剥奪された件を切っ掛けに、リボルバーの正体こと鴻上了見、私へと辿り着いた。出会って、私は拓真へ自身の使命、自身の重責、自身の辿るべき運命について吐露した。拓真はそれをただただ静かに聞き、抱き締めて私の背中を撫でた。
それから、休みの度に拓真は私を訪ねた。用件は特にない。己の勉強をしたり、本を読んだり、音楽を聴いたり、デッキ調整をしたり、独りで出来ることを、私の傍らでしながら過ごしていた。
私は、拓真の居る間はなるべくLINK VRAINSへのログインを控えた。本来なら、そんな時ではない。着々と種は育っていく。しかし、この穏やかな時間は私の心を慰めた。
「リボルバー。」
「何だ、拓真。」
「もう昼じゃん?スパゲッティで良い?食いたいのあるんだ。」
「構わない。好きにしろ。」
そう言うやいなや、拓真はソファから跳ね起きて、キッチンへと向かう。来たときに置いた袋を漁り、パスタとニンニクとオイルとパウチを取り出す。
「…ニンニクか…。」
「ん?リボルバーニンニク駄目か?」
「嫌、しかし臭いが。」
「そうなんだよなー、家でペペロンチーノ作ると制服について鬼ヤバいンだよな〜。」
そう言うと、鍋に水を汲む。つまり、この男は臭い対策に私の家で作ると宣ったのだ。溜息が出て来る。
「まあ、替わりに旨いの作るから、勘弁な?」
そう言って、私を追い遣ると拓真は調理を本格的に始めた。拓真は、私の名を呼ばない。必ず、リボルバーと呼ぶ。付き合いとしては、数ヶ月とはいえ、確かにリボルバーとしての私の方が長い。しかし、拓真は私ではなく、私を通してリボルバーを見ているように感じた。虚構の己に嫉妬など、笑えない。
思考の海を漂っていたら、思ったよりも時間が経っていたらしい。拓真が出来立ての皿をテーブルに配膳していく。芳ばしいニンニクの香り立つペペロンチーノが目の前に置かれる。
「サラダとインスタントだけどスープな。サラダはこれ、ドレッシング作ったのをお好みでどーぞ。」
そう言って、向かいに座り、手を合わせる。口の中で頂きます。と、言うとおもむろにフォークをパスタへと突っ込む。クルクルと適量巻き取ると、口へと運ぶ拓真は、見た目にそぐわず食べ方が綺麗だ。端々の所作で育ちの良さを覗わせるものの、口元や指に付いたものは舐め取る意地汚さもある。LINK VRAINSでは俯瞰した立場を貫くのに対し、現実世界では慇懃に振る舞う。そうではないと理解しているのにも関わらず、都合の良いように解釈したくなる。
「んっ!」
拓真が小さく呻いたので何かと見る。どうやらパスタが上手く巻けず、一本が長くたらりと口から垂れていた。それを拓真は少し口を窄めて啜り上げる。ちゅるん。と、口に含み、咀嚼して飲み込む。油で照る唇を舌でチロリと舐めると満足げな溜息を吐く。
噛み締めた鷹の爪が、辛いを通り越して痛かった。

食後、ニンニク臭いからとリボルバーの部屋に行こう!と、片付けるなり部屋へと押し込まれる。息がすでにそうなのだから、どこに居ても変わらない気がするが、拓真はそうではないらしい。
「あー、満腹だー!」
拓真は言うなり、ベッドへ仰向けに倒れ込み、ぐっと腕を上げて伸びをして、服の裾から腹が見える。
「……拓真…」
「?リボルバー??」
衝動的、上に乗りかかり、唇を奪った。
「!?んんんっ!!」
顔を振って、肩を掴んで離れようとする拓真に興奮が募る。LINKVRAINSで触れるに止めたそれを、思うままに深く貪る。誰に教わったわけではないが、己の唾液を相手に、相手の唾液を己で、味わうように交換するような口吻をする。舌を引き抜くと、頬を紅潮させトロンとした拓真の瞳にゴクリと喉が鳴る。唇が油の代わりに唾液でぬらぬらとしている。
「っはあ、リボルバー「了見だ。」?」
「了見と、呼んでくれ。」
「りょう…けん?どうした?」
昼食を済ませたばかりなのにも関わらず、喰いたくて、喰いたくて仕方がない。
「……お前が抱きたい。」
拓真の首に顔を埋めて、カプカプと噛み付く。このまま噛み切ったら、どんな味がするのだろう。
「…………おまえ、俺が好きなのか?」
たっぷりの間を置いて、拓真は問う。
「分からない。」
「わからないって……」
「だが、抱きたいんだ。」
自分でも訳が分からない。あのままでは拓真が消滅するのは火を見るよりも明らかで、それを止めたかった。二度と会うことは叶わない。そう覚悟していた。しかし、拓真は会いに来た。私を見つけ出した。もう止められない。
「抱かせてくれ…」
拓真の背に腕を回し、抱き竦める。二度と離れたくない。と、心底思う。拓真は何か言いたげに喉を震わせ、数瞬。私の背に腕を回した。
「………いいよ。」 
落とされた呟きに、何かが弾けた。

「んん!んんんん!!!」
ハンドクリームを纏わせた指を拓真の尻穴に挿入する。男女の営みだと、入れるための穴があるが、男同士はそうではない。少ない知識から絞り出して、少しでも拓真に負担がないように配慮したい。ヌコヌコと、指がスムーズに動かせるようになったら、もう一本増やす。辛そうに自身を掻き抱く拓真が可愛そうで可愛い。きっと、拓真は快感など感じていないだろう。反対に私は拓真が受け容れてくれるこの現状に昂揚し、受け容れられる指から擬似的な快感を受けている。この興奮だけでイケそうだ。
指が三本受け容れられるようになったころ、拓真にも少し余裕後出て来たようで、此方の様子を覗っている。
「大丈夫か?」
「わかんない〜、ヌルヌルするぅ〜…」
酔ったような舌足らずな返事に理性が殴られる。
「そんな可愛い物言いをするな、耐えられない。」
顔を上げて、罰するために近付く。拓真は受け容れるように、少し首を傾げ、あ。と、口を開ける。
「参ったな…まいった。」
キスしてやろうとしたのに、拓真の胸元に顔を伏せる。狙ってやっているのではないか?腹いせに指を激しく動かしてやる。ヌチヌチと中で指を蠢かすと、気持ちが良いらしく拓真は高い声で啼く。
「大分慣れたか?」
「うん、うん、だいじょーぶ。」
その言葉をうのみにし、脚を抱え上げる。腰を少し浮かせて、高さを合わせてやると、体温で溶けたのだろうトロリとしたクリームをこぼす尻穴と拓真の軟らかな陰茎の向こうに拓真の顔が見える。なんだこの絶景は。
「入れるぞ。」
私の宣言に、拓真は口を引き結ぶ。コイツは何でこんなに馬鹿で可愛いのだろう。
「くふうううぅぅぅんん!!!」
ずぷう。と、自身を胎内に押し込むと、それに合わせたように拓真は鼻に掛かった息を吐く。指で慣らされた中は入り口付近は程良く解れていたが、半ば以降はミッチリと肉襞が絡み付き、了見の侵入を拒む。それを無視して根元まで突き入れると、亀頭をギチリと食んで、離さない。
「っはあ…凄い。」
このままでも射精しそうなほど快感が高まっている。それを逃がすために敢えて言葉にする。
直ぐに動きたいのを我慢して、拓真に手を伸ばす。はふはふと息を必死でする姿に無体を強いることに胸が締め付けられる。
「…やめるか?」
本当は辞めたくなんて無い。思うままに刺し貫いて、射精したい。叶うものなら種付けしてやりたい。
拓真の言葉を待っていると、拓真は少し眉を寄せた。
「…よくなぁい?」
「そんなことはっ…」
しばし考えて、拓真は思いついたような顔をして両手を伸ばしてくる。何かと思って見守っていると。徐に自身の陰部を隠した。
「これなら…ちょっとはいい?」
拓真は本当に馬鹿だ。
「ああ、とても。」
私の言葉に拓真は安堵する。しかし、私の手も重なると、キョトンとした。
「拓真も気持ち良くならないとな?」
拓真の手を持って、陰茎を扱かせる。潤滑油に、と、唾液を垂らすとヌチャヌチャと滑らかにいやらしい音を立て始める。
「や!?やだよりぼるばぁ!」
「了見だ。」
馴染ませるように、教えてやると、りょうけん、りょうけん、と、繰り返す。
「ん、気持ちいいな?段々大きくなってきた。」
拓真が陰茎で快楽を得るに従い、胎内がぎゅむきゅむと、自身を絞め付ける。気持ちいい、気持ちいい、と、まるで教えてくれているみたいだ。
「ふっ、んあ、あ、あ、あっああう!」
気持ち良さそうに拓真自身で手を動かし始めたのを契機に、自身の腰も動かす。もう我慢の限界だ。
拓真の手の動きに合わせて、小さなストロークできゅんきゅんと亀頭を絞る肉筒を楽しむ。
「ふうっ、あっあっあっあはぁっ!」
拓真が私の動きに合わせて啼く姿に、頭が沸騰する。一気に引き抜き、肉襞を絡み上げる様に最奥を叩く。裏筋がゴリゴリと擦り上げられて最高だ。電撃のように脊髄を登る快感に顎が上がる。
「ふあっ、あうぅぅ〜りょっけんんん!」
「くあっ、はあっはあっなん、だ?」
拓真は涙をためた瞳で小さく、イきそう。
そう言った。
「!?〜〜〜〜〜やああぁぁーーー!!!それいやだ!だめ!だめだ!りょーけん!りょーけんんんぅ!!」
拓真の陰茎を手加減無しに擦り上げながら、怒張で肉襞を此方も手加減せずにいじめ抜く。手加減する理性など消えた。気持ち良くしてやりたいなどと言う甘やかな想像は、共に果てたいと言う欲望にすげ替わる。
「ふぁん!あっあっあっ…いく、いくよ、いっちゃうよぉー!!」
「ああ…わたし、も!」
今までで最も固く膨れ上がった自身がドクリドクリと脈動し、頭の中が真っ白になる。
「んあーーー………!あぁ……」
「……、はぁ、はぁ……はっ…」
精液が出終わると、頭がすうっと冷えていく。生暖かい手を見ると、拓真も無事に射精できたようだ。得も言われぬ幸福感が迫り上がる。拓真を見ると、目を閉じて、顔を赤くしながら震えていた。その瞼や髪には白い粘液が散っている。
「ーーーー!!!」
こんなものを見せ付けられて、止められる筈が無かった。

情事後、拓真は濡れた髪のまま俯いてソファに腰掛けている。
気まずさに、声を掛けられない。やってしまったことを取り消すことなど出来ない。ぎしり、と、ソファの鳴き声に目をやると、拓真はじとりとした目で私を見詰めている。逸らしたいが、逸らしたらそれは不誠実だ。
「……尻が痛い。」
「すまない。」
私に何を求めているのか、多分、思ったこと感じたことを言っているだけなのだ。拓真はそう言う男だ。
「……初めてだったんですけど。」
「そうでないと、困る。」
流石にその言葉は看過できない。尚も見詰めてくる拓真がフイッと、顔を逸らす。
「……初めては甘酸っぱいとか言うけど、ニンニクの臭いとか、雰囲気なくないか?」
私はしばしあっけにとられ、間抜けな顔を晒した。そして、言葉の意味を咀嚼して飲み込むと、じわじわと何かが登ってくる。
拓真の隣に腰掛けて、肩に腕を回す。
次は拓真の望むような雰囲気とやらを作ってやろう。幸い此処は神秘の海を見られる家だ。シチュエーションには事欠かない。
そう思いを馳せながら赤い頬に口付けた。



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