放課後の珍事《2》(財前晃)

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第三弾 財前晃と遊作男夢主

「………………おじゃまします………」
先客の居る風呂場で斎藤が何とか振り絞って出せた言葉、其れだった。

斎藤と晃の間には沈黙が落ちる。

初対面の女子生徒の家で、初対面のその兄と風呂に入るなんて経験、一体どれ程の人がするだろうか。半ば意識を飛ばしながら斎藤はへらりと笑う。
「…えっと、君は…?」
「斎藤と言います。同じ高校の二年です。」
「そうか…、私は葵の兄の晃だ。…何故家の風呂に?」
尤もな疑問だ。彼女を庇って、濡れてしまったのを親切に連れて来てくれた。と、語り、優しい妹さんですね。と、言葉を添える。
「それは…すまなかった。」
「いえ、断り切れなくて来てしまった俺の方がおかしいので…」

また沈黙である。

斎藤はチロリと晃の体を見る。確りとした肩に、程良く発達した胸筋、引き締まった腹部。特別鍛えていないのだろうが、均等に筋肉の付いた体だ。
「……ゆ、湯船に浸かったらどうだ?」
「ははははい!ありがとうございますっ!」
言葉に甘えてざぶりと湯に浸かる。斎藤は久し振りに足を伸ばせる湯船に感動する。
「…きもちい〜…」
思わず出た言葉に、晃はクスリと笑う。恥ずかしさに、斎藤は俯く。
「私は流したらもう出るから、ゆっくりと温まると良い。」
そう言うと、晃は体を流す。元々白いのだろう肌に赤味があることに少し安堵する。
「スミマセン、追い出して。」
「何、気にするな。」
そう言って、晃は風呂から出た。斎藤もほどほどにして風呂を上がった。

上がった。上がりはしたが、服がない。制服がない。代わりに男物のシャツとズボンがある。これを着ろとのことだろうか?幸いにして、下着は穿いた物がそのまま置かれていた。仕方なく、斎藤はこれらを身に付けた。
リビングに向かうと、晃がテーブルに座って何かを飲んでいるところだった。
「斎藤君、上がったんだね。ちゃんと温まったかい?」
「あ、はい、ありがとうございます。この服、晃さんのデスよね?重ねて申し訳ないです…」
構わない、と手を振り応える。
「斎藤先輩、上がったんですね。」
振り返ると、葵が盆の上にティーセットを乗せて起っていた。
「ああ、あの、俺の服は?」
「斎藤先輩の服は制服以外洗っています。乾くのは…大体一時間ほどです。」
「ははは…ありがとう……」
斎藤は促されるままに、財前兄妹とティータイムを過ごすことになった。生まれて初めて飲むハーブティーは、正直、上手いとは思えなかった。


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