放課後の珍事《1》 (財前葵)

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第二弾 財前葵と遊作男夢主

通り雨に襲われた放課後、幸い置き傘のおかげで雨に打たれることを逃れた斎藤は帰路に就く。街中にある高校のため、登下校ルートは車通りが激しい。跳ねる水に用心しながら歩く斎藤の前にも女子生徒が同じように歩く。
スカートは良いな、濡れなくて。
下げた視界に映る、グッショリと泥水を吸ったスラックスの裾に溜息が出る。
顔を上げたとき、其れは起こった。

胸元から下へ水が滴る。地味にシャツの隙間から入る水滴が冷たくて、斎藤は身震いする。
斎藤がちょうど顔を上げたとき、高速度の大型車が水を巻き上げてやって来たのだ。怯んで立ち竦む女子生徒の前に、咄嗟に体を滑り込ませた斎藤は、代わりに水飛沫の洗礼を受けたのだ。
「す、すみません!大丈夫ですか?」
女子生徒は慌てて斎藤に声を掛ける。斎藤は意味をなさなくなった傘を閉じつつ、大丈夫、濡れなかった?と、応える。それに頷く彼女に良かった。と、踵を返そうとした。が、出来なかった。
「ウチに来て下さい。そのままじゃ風邪を引きます。」
確りと握られた腕は、存外力強かった。
女子生徒、財前葵の家に連れ込まれた斎藤は着くなり、風呂場に押し込まれそうになった。が、早く帰宅することになった葵の兄、晃が先に入っていた。これ幸いと逃げを打つ斎藤に葵は一緒には居れば良い、男同士なのだから問題ない。と、微妙な反応の晃の了承を得て、彼女の思惑通り斎藤を押し込んだ。



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