「フムフム…、そうかそうか。それは大変だな…」

「……何をしているのですか」

「ん?ああ、ボスですか。このダルマッカと世間話をしてたんですよ」

「ダルマッカのお面をつけながらダルマッカと世間話とは、妙な光景ですね」

「そうですか?ボスこそこんなところで何してるんです?サボりっすか?」

「貴方と一緒にしないで下さいまし。そういえばアサオ、貴方ダルマッカなんて連れていましたか?」

「いえ、この子は野生のダルマッカですよ。ルート4から迷い込んで来ちゃったみたいです」

「そうでしたか」

「ん?どうしたダルマッカ?…何々、そろそろ帰りたいって?帰り道はわかるのか?…え、わかんないの?それは胸張って言うことじゃないぞ」

「…アサオ、このダルマッカが何を言っているのかわかるのですか?」

「わかりますけど、何か?」

「いえ、貴方がそのような特技を持っていたとは知らなかったので」

「特技って程のものじゃないですよ。ポケモンと心を一つにすれば自ずと言葉は伝わってくるんですよ」

「心を一つに、ですか」

「そうです。ほら、ボスもこのダルマッカと心を一つにしてみて下さい。声聞こえて来ませんか?」

「……声…」

「【…いかりまんじゅうがたべたい】」

「…は?」

「【おなかがすいたよなにかたべたい】」

「………」

「【これからまいにちいえをやこう】あいたっ!!」

「…何をしているのですか」

「ナンノコトデスカ?」

「…まったく、まんまと騙されるところでしたよ。いったい何処からが嘘だったのか…」

「全部嘘でしたてへぺろ、なーんて言ったら怒ります?」

「………」

「む、無言の圧力…!私ダルマッカをルート4まで案内してきます!サラダバー!」

「あ!こら待ちなさい!…まったく、溜息しか出ませんね…。ほらダルマッカ、早くアサオを追い掛けなければ置いていかれてしまいますよ」

【また遊びに来てやるよ!】

「………はい?」

【じゃあな!】

「え…、今ダルマッカが、アサオはもういないですし、え…、えぇええええ!?」