悪気は無い

『魔理沙ー。クッキー無くなったー。もっと頂戴』

「お前なぁ…。もう帰れよ!」

『えーいいじゃん。もうちょっとここに居させてよー。後三十年くらい』

「全然ちょっとじゃねー!」

『そんなに怒るなって〜。血圧上がるぞ!』

「マスタースパーク!!」

『ぎゃあああ!マスパはだめえええ!』


―――


「…で、なんでそんなに帰りたくないんだよ?」

『いや…、帰りたくない訳ではないんですよ…』

「じゃあ帰れ」

『それは無理!外出たらあっという間に死ぬ!ピチューンされる!』

「ピチューンなら問題無い。残機あるだろ?だから帰れ」

『…うえっうえっ、残機足りない、ていうかそういう問題じゃないうえっうえっ』

「じゃあコンティニューは…」

『うえっうえっだからそういう問題じゃないんだってばぁうえっうえっ』

「……何があったんだよ」

『実はですね…』

「切り替え早っ!」

『霊夢んとこの賽銭箱から小銭をがっつり…』

「…盗ったのか?」

『あそこ思ってたよりお金入ってたよあはは!』

「あははじゃないだろ…。つまりナナシは霊夢に見つかりたくないって事か」

『まぁそうだって言えばそうなんだけど…』

「?」

『霊夢だけじゃないんだよね、見つかりたくない奴…』

「お前何しでかしたんだよ…」

『パチェのとこで本ずたぼろにしたり咲夜ちんの目の前でおぜうのお気に入りティーカップ割ったり永琳の薬剤ぶちまけたり萃香の酒飲み干したり文ちんのカメラぶっ壊したりにとりのかっぱ巻き全部食べちゃったり…、あ、後リグルに殺虫剤吹き掛けたりもしたなぁ…』

「…もういい、もういいよナナシ。もう聞きたくない…」

『えー…、まだいるよ?アリスとかもこたんとか妖夢とか慧音とか雛とか椛とか諏訪子とか…、あとゆかりんとかも…。…もっといた気がするけど思い出せないやあはは!』

「帰れ!出ていけ!私まで巻き込まれたらどうするんだ!」

『んー…、その時はその時だよえへへ。ていうかゆかりん以外からは逃げるの簡単だよ〜。あ、魔理沙魔理沙、これ壊しちゃった』

「…何この残骸」

『ミニ八卦炉だったもの』

「………(ブツン)」

『あり?何かが切れる音がしたような…』

「……ナナシちゃ〜ん…、やって良い事と悪い事の区別くらい、ちゃーーんと出来るよね〜…」

『ま、魔理沙…さん?』

「ははははは…」

『えーと…、あの、取り敢えずお邪魔しましたあああ!!!』

「まてやゴルァ!きのこと一緒にスープにしてやる!!」

『ひぃい!ごめんなさ〜い!』